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ちょっとだけ
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〜南side〜
ハルが3年前のことを話している間僕は何回も顔を覗いた。
時々苦しい顔をしていて哀しくなる。
でも話終わったあと何故か安心したような、スッキリしたような顔をしていたから何も言えなくなった。
それに、足元にあった紙袋の中にはたくさんの本が入っていてどうやらハルからのプレゼントらしい。
ちらっと表紙を見たら前から僕が気になってた本で読みたいっていう気持ちが大きくなった。
今すぐ本を読みたいけど、読んでいる間にハルがいなくなりそうで怖い…
僕の顔で察したのかハルはここで仕事をすると言ってくれた。
でもある事にハッとする。
もしかして僕が面倒事を持ち込んだから仕事がたまってるんじゃ…と。
「ハル、ごめんね。僕が面倒事を持ち込んだから仕事がたまってるんでしょ…?」
「……………あー、びっくりした!なんのことかと思った。
大丈夫、南のせいじゃないよ。俺がやらなかっただけ。」
「ほんと?」
「ほんとほんと。ほら、南はあげた本読んでな。
それ面白いと思うよ。」
「うん」
僕はハルの言葉を信じて本に集中する事にした。
1冊読み終わったので時計を確認したら3時間も経っていた。
ハルは集中してずっと机に向き合っている。
僕は喉が渇いて机に置いてある水を取ろうとしたら、バランスを崩して瓶を落としてしまった。
しまった…
僕はお腹の傷口がまた開かないようにそっとベッドから降りて病室のドアから頭だけを出す。
その時丁度通りかかった看護師に拭くものを貰おうと声をかけたけど、その看護師は白咲さんだった…
ハルに近づくなって言われたばかりなのに…
「どうしたの?」
僕とハルの約束なんて知らずに優しく話しかけてくれる。
ハルの話を聞いたばかりで、すごく警戒してしまう。
「ぇっと、水取ろうとしたら、瓶を落としちゃって…」
「あぁ!待ってて、今から雑巾持ってくね」
そう言って白咲さんは消えていったけど、僕はまだその背中を見る。
ほんとに、あの時睨んだのは白咲さんなのだろうか…
だって、あんなに怖かったのに、僕にすごく優しくできるのかな…
考えているといつの間にか白咲さんが来ていた。
僕の病室に入って白咲さんはまずハルに目がいって頬を少しだけ赤らめている。
やっぱり、まだ好きなんだな…
改めてそう思う。
「はい、終わり。
ねね、ちょっとだけ付き合ってくれる?
話すだけだからさ!
ね?ほんとにちょっとだよ?」
にこりと笑う彼女。
僕が汚しちゃったものを片付けてくれたし、それだけなら…と思って僕は承諾してしまった。
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