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幸せ
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「ん?南、どうかした?」
「ッあ、なんでもない…」
優さんがこっちを見てニコニコしている。
今はその笑顔が怖い。
何もされていないけど…もし、さっきのことをハルに言ったら?
ほんとに僕の話を信じる?
ううん、ハルと優さんは従兄弟で仲がいい。
僕と出会うもっと前からの仲なんだ。
僕がホントのこと言ったって、きっと信じてくれない。
「あっそーだ!ねぇハルくん!僕ついでに夕飯食べていきたいんだけどいい?」
「んー、まぁいいけど。」
「やったー!」
僕が考え込んでいるうちにいつの間にかそんな会話が繰り広げられた。
「いッ」
嫌だ
つい言いそうになって口を抑える。
僕は、今…?
「南?ほんとにどうかした?」
様子がおかしい僕に心配してくれるハル。
「な、なんでもないよ!ほんとに!
僕、疲れてるのかも…ちょっと寝てきてもいい?」
「あぁ。いいけど…夕飯食べれそうだったら言えよ?」
「うん。ありがと…」
ハルの優しさが、僕の心に暖かく広がる。
胸がじーんとして、落ち着く。
僕はほんとに疲れていたのか、ベッドに入ってすぐに寝てしまった。
ハルがいないからだろうか。
久しぶりに怖い夢を見た。
そこにはお父さん、ちさ兄、ひな兄、そして、ずっと前に亡くなったお母さん。
お母さんとの記憶はないけど、写真で見た顔はとても幸せそうに笑っていた。
きっと優しかったんだろう…
夢ではいつものように兄達に虐められて、その隣でお父さんが軽蔑した目で見つめる。
そしたら、お母さんが僕に向かってこう言った。
「南、今までよく耐えたわね。晴也くんに出会えて幸せ?」
「うん…幸せ…。ね、お母さ…」
「でも、昔ひどいことがあったからって、今後幸せになるとは限らないの。
今南は幸せって言ったけど、それってほんとに幸せなの?
思い違いじゃないの?…よく考えて。」
そう言ってお母さんは消え、兄達も消えた。
…幸せ?
幸せって、なんだっけ。
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