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「に、にゃ〜ん?」
そう、これ。
これでハルくんは赤面しながら固まった。
勝てない。
そう思った。
いくら南くんと仲が良くても、好きな人を譲れない時だってある。
たとえそれが恋人持ちの人でも…………
でもこんな僕の気持ちを知らないふたりは、僕の目の前でイチャつき始める。
苦しい………あ、やばい。目頭が熱くなってきた。
急いで僕は二人に背を向けた。
僕だってハルくんに好かれたくて今まで頑張ってきたつもりだ。
けどその長年の苦労も一瞬で水の泡となる。
ふと昔、両親に言われた言葉を思い出した。
いつだったっけな……そう思う程に古い記憶だ。
僕はいつも両親にハルくんの事を話していた。
この時だって…………
「あのね!今日ハルくんがね、テストで100点取ってたの!先生も難しい問題だったから凄いって褒めてたんだよ!」
そう言って二人の顔を見ると、何故か険しい顔をしていた。
黙っていると、両親は僕を置いて二人で話し始める。
「なんで晴也くんはあんなに頭がいいのに、うちの子はこんなに出来が悪いのかしら」
「全くだ。家庭教師も塾もやらせている意味が無い。」
「本当に従兄弟なの?」
「当たり前だろ…!俺を疑うのか…!!?」
「そう言っているんじゃないでしょう!?」
そう言うやいなや、2人は喧嘩を始めてしまい、ハルくんの話どころではなくなってしまった。
こういったことが何度も続き、僕は両親の前でハルくんの話をするのをやめて、心の奥底にしまうことにした。
だからずっとハルくんを思っていたのに、南くんに取られた気がしてしまった。
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