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あの人は……………そうだ、今日のサイン会に来ていた人だ。
名前は確か……凛夢子さん。
しかし、偶然ここのレストランに来ていたのか。
あの人は確実に俺の顔を知っている。
念の為俺はマスクをつけた。
丁度その時。
店員さんが食事を持ってきた。
「お待たせしました。店長オススメのふわふわパンケーキ……………えっ!?」
店員さんの声に驚き、顔を上げるとなんと、今日南が言っていた例の同級生くんがいた。
「えっと………位上、くん?」
「あっ!そうです!
俺、位上大雅って言います…!えっと〜あの〜…………あれ、藍川はどこ行ったんすか??」
「あ、あぁ、南ね。お手洗いに行ってるはずなんだけど……」
「え?
あれ、可笑しいな………トイレのランプ消えてるのにな……」
「え?トイレのランプ…?」
「あそこです」
彼が指さした先には、確かにトイレのマークによくある男女の絵が書かれているランプがあった。
なるほど。
ランプが消えていれば中に人がいないことが分かるのだろう。
いやちょっと待て。
ということは今南はそこにいないってことか??
頭が真っ白になる。
「お、俺、店内探してみます…!」
「あ、いいよいいよ。君も仕事だろう?迷惑は……」
「迷惑じゃないっス!手伝わせてください!」
そこまで言われると何も言えない。
申し訳なくも、俺は彼にも協力してもらった。
チリンチリンと、客の誰かが出入りする音が聞こえる。
俺は何気なく、そこに目を向けた。
ゴロゴロと、引きずる音。
キャリーケースか…………
少しずつ目線が上がる。
あぁ、凛夢子さんか。
そこでハッとする。そう言えば彼女、トイレから出てきたよな…?
もし……もしもだ。
彼女が南を連れ去ったとしたら…?
理由は分からない。というか、疑うのは良くない。
けれど、気になるのなら調べる。
その想いが今の俺には強かった。
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