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憎悪
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〜大雅side〜
さっきから黙って話を聞いてると、この顧問弁護士と言う奴は舐め腐ったことばかり言いやがる。
なにが『知ってた。』だよ!
もしお前が止めてたら今回藍川は傷つくこともなかったかもしれないのに……。
けれどそれと同時に、この状況で何も出来ない自分にも腹が立つ。
あん時は俺もついてくっつったけど、実際俺は話を聞いてるだけ。
正直言ってただの邪魔だろう。
でももう引き下がれない。ここまで来ちまったんだ。
「はぁ!?あんた正気!?ふざけんなよ!!」
その時、優さんって人の怒鳴り声でハッとする。
「僕はいつでも正直だよ。ただ僕、また優ちゃんに会いたいだけなんだよ。」
この顧問弁護士が放った言葉にプツンときた。
「じゃあなんだよ!そのために藍川を利用したってのか!?
なにが弁護士だよ!そんなことしていい訳ないだろ!」
「君さ、僕をなんだと思ってるの?僕も人間なんだよ?」
有り得ない。
こんな奴が同じ人間だなんて思いたくもない。
キタヤ先生が俺の背中を摩ってくれる。
『落ち着け。』
そう言いたいんだろう。
ていうか、なんでそんな落ち着いてられんだよ。
だって、いや多分、藍川とキタヤ先生は特別な関係なんだろ?
キタヤ先生はなんでそんな冷静なんだよ。
そう云おうと思ってやめた。というか、先生の顔を見て言えなかった。
今日のサイン会の時には想像がつかないほど、とても怖い顔をしていたからだ。
そうだ。
俺がここで怒ってもどうなる訳でもない。
俺はここで冷静になった。
「ねぇ、凛夢子さん。君はなんでこんなことをしたの?」
静かな空間に、先生の声が響く。
「先生がどんな顔をするか見たかったから。
私、今のでとても満足してるんです…!」
「そう。じゃあ、俺の顔を見るのは今日が最後だね。」
え?
誰もがそう思った時、チャイムがなった。
俺が扉を開けると、なんと目の前には何人かの警察官がいたのだ。
驚いている中、先生は警察官達に何か指示をしている。
訳が分からないまま、凛夢子さんは警察官達に連れていかれた。
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