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「いいの?!」
「う、うん。」
嬉しそうに笑う藍川くんにドキドキする。
本を貸した後、俺達は別れた。
本を貸したことによってまた話せる…!
嬉しくて自然と笑がこぼれた。
また別の日。
俺は図書室によく入り浸っていた。
本を読んでいると目の前に誰かが座ったのが分かる。
ちらりと目の前にいる人を見ると、なんと藍川くんで驚いた。
驚きすぎて挙動不審になってしまったくらいだ。
俺があまりに動くからか、藍川くんも気づいたようで『あ。』と言った顔をしている。
「そう言えば、貸してくれた本読んだよ。すっごく面白かった。明日本返すね。」
「う、うん。」
返すのに会いに来てくれなかったのか……。
「あ、そういえば名前は??
僕本返したかったんだけど、名前わからなくて返せなくて…」
そうだった…!
名前を教えていないのだから本を返すことも出来なかったじゃないか。
というか、俺は最初から藍川くんを知っていたが、彼は俺の事を知らない。
少し寂しくなる。
「えっと、俺位上大雅……」
「たいが?」
「うん。似合わないよね、こんなガリ勉にこんな名前……」
「そうかな?
僕も、南って女の子みたいな名前でそんなに好きじゃないかな…」
「そうなんだ…」
でも、実際藍川くんは普通の女子よりも可愛い気がする。
そんな会話をしていくうちに、俺達はだんだんと仲良くなっていった。
俺達は本友達で、本のことや最近のこと、いろんなことを話していた。
藍川は可愛いし性格がいいから絶対モテるだろうと思い、ある日聞いたことがある。
けれど告白を1度もされたことがないらしい。
藍川曰く、『みんな僕のこと避けてる。』と言っているが多分違うだろう。
きっと、高嶺の花なんだ。
俺みたいなやつが近くにいたら藍川の株を下げるかもしれない。
見た目だけでも変えようと思った。
そう思った時、信じられないことが起きたんだ。
『藍川南が亡くなった』
信じられなかった。
ショックでショックで、1週間も学校を休んだ程に。
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