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俺は『そいつ』が嫌いだった。
「きゃー!由李くんと同じクラスとか嬉しすぎる〜!」
「これから毎日学校行くのが楽しみ〜!!」
ほら。まただ。
クラス替えをしたばかりで皆が浮き足立つが、俺の新しいクラス、A組の女子達はさらに浮き足立っていた。
その原因はこの有名な奴のせいだ。
「あはっ嬉しい〜!これからよろしくね」
語尾にハートがついていたかのように甘い話し方をする。
俺は自分の席に座りながら、その人物を見つめた。
由李壮真
友達もいないせいか、殆どの噂話も耳に入らない俺でも知ってるこいつ。
基本静かを好む俺は、こいつが好きじゃなかった。
この由李くんと同じクラスと分かった途端、女子達が騒ぎ始めたので驚いたのを覚えている。
それもそのはず。
由李くんは顔がよかった。
そのタレ目にすっと通る鼻筋。甘い声からは女子達が欲しい言葉を言ってくれる。
そんなやつモテないはずがない。
その上校則違反の染めたオレンジの髪にピアス。目立つせいか由李くんは有名人だ。
そんなやつと同じクラスだなんて、最悪だ。
今すぐにクラス替えをしたいくらいには………
俺がそんなことを思ってると、ふと由李くんと目が合った。
うわ。気まず…
つい顔を背けるが、何故か近づいてくる由李くん。
そして足音は俺の目の前で止まった。
「さくらばくん?だっけ?これからよろし」
「さくらは」
「え?」
『よろしく』と言いかけた由李くんに言葉をかぶせた。
「俺の名前はさくらは」
確かに漢字では桜羽と書くから分かりずらいが…。
「あ、そなの?ごめーん」
えへ。と笑う彼に、遠くで見てた女子達はまたも騒ぎ始める。
「というか髪すごいサラサラじゃーん」
そういうや否や由李くんの手が俺の頭にのびてきた。
「ッやめろ触るな!」
俺の声はクラス中に響き渡った。
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