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両片思いの酔いと紳士
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ky side
「りゃから~!キヨ君!なんれ俺のお酒とりゅの~!」
「もー!レトさん!ダメだって!これ以上飲んだら!」
今、俺の前には酔っぱらったレトさんが
駄々をこねて俺を睨んでいる。
今日はお昼から日本トップ4の4人でレトさん家でゲーム実況を録っていた。
夕方まで4人で実況を録り
時間的にも、打ち上げも兼ねてどこかに食べに行こうということになり
4人で近くの居酒屋に入り、夕飯がてら打ち上げをしていた。
しかし途中でガッチさんとうっしーの既婚者組は
家庭の事情で、まだ暗くならないうちにそれぞれ帰ってしまった。
残った俺とレトさんは
いつものように他愛のない会話をしながら
注文した料理を食べていた。
しばらくいつものように他愛もない話をしていると
最初の方は気づかなかったが
レトさんの様子に違和感を覚え、意識して気にかけていると
レトさんの顔がいつもより赤く
呂律もだんだん回らなくなっていることに気づいた。
まさかとは思い、レトさんの飲んでいたはずのウーロン茶を見てみると
ウーロン茶ではなくウローンハイで
もう3分の2くらい飲んでしまっているようで。
どうやら店員さんが間違えて持ってきてしまったようだ。
とにかく俺は、酒の弱いレトさんにこれ以上飲ませてはいけないと思い
レトさんから酒をさりげなく遠ざけ、コップに水を注ぎレトさんに渡す。
「んぇ?おりぇのウーロン茶は?」
レトさんは呑気に、呂律の回っていない様子で聞いてきた。
どうやら自分がウローンハイを飲んで酔ってることにすら気づいてねーみてーだ。
「レトさんのウーロン茶、たぶん店員さんが間違えてウローンハイ持ってきちゃったんだよ。
レトさん酒弱かっただろ?もうやめとけって、呂律も回ってねーし。」
と俺が事情を話すと
「お酒やったんかありぇ。でも大丈夫やで!俺お酒飲めるもん!」
…だめだ、この人完全に酔って自分が酒にすげー弱いことも忘れてる。
俺がこの酔っ払いをこれからどうしようか考えてると
その隙にレトさんから遠ざけていたはずのウローンハイを
レトさんがまた手に取って飲もうとしていた。
俺は慌ててレトさんの手からウローンハイを取り上げる。
「りゃから~!キヨ君!なんれ俺のお酒とりゅの~!」
「もー!レトさん!ダメだって!これ以上飲んだら!」
俺は急いで取り上げたウローンハイの残りを飲み干した。
「あぁー!キヨ君のいじわりゅ~」
「はいはい、意地悪で結構。」
うーん、それにしても困った。
こんなに酔っ払ったレトさんを1人で帰すのはすげー心配だ。
てかそもそもレトさん1人で歩けんのか?
とにかく俺はレトさんを家まで送っていくことに決め
残っていた料理をさっと食べ終え、会計をすませることにした。
「レトさん、俺レジで会計してくっから」
「う~ん……」
一応レトさんに声をかけてから会計に行く。
もうレトさんは眠くなってきたようで、机に突っ伏していた。
レジは混んでいなく、すんなり会計を終え
俺たちが座っていた席に戻り、レトさんの様子を見ると
眠っては起きて眠っては起きてを繰り返していて
もう半分寝ているような状態だった。
「レトさん!帰るよ!歩ける?」
「う~~……」
俺が聞いてもレトさんは生半可な返事しか返ってこず
どうやら寝ぼけているようで
「ほら、レトさん、おんぶしてやっから。」
酔ってるレトさんを歩かせるのは無理だと判断した俺は
レトさんをおんぶしようと、レトさんの前にかがむ。
「うーん。。おんぶ。。」
レトさんはまだ眠そうに目をこすりながら
俺の後ろから首に腕を回してぎゅっと抱きつく。
俺はそんなレトさんの仕草に少しキュンとしながら
レトさんの膝の裏に手を持ってきて身体を持ち上げておんぶした。
レトさんは思っていたよりも軽く、レトさんの家までなら余裕で持てそうだ。
「歩くから、ちゃんと掴まってろよ。レトさん。」
「うん。」
俺はレトさんを落とさないように掴まってるよう声をかけると
レトさんは素直に首に回している腕に少し力を入れる。
俺はそんなレトさんの反応が可愛く思えて頬が緩む。
店を出て少し歩いたところで、レトさんはまた眠くなったのか
顔を俺の首筋に埋め、首に回している腕の力をさらに入れる。
「レトさん、着いたら起こすから寝てていーよ」
「……ん」
やっぱり限界がきていたのか俺が声をかけた頃にはもう眠っていた。
背中にレトさんの体温を感じながら、レトさん家までの残り短い道を歩く。
(酔ったレトさん久しぶりに見た…)
さっきまでのレトさんの行動1つ1つを思い出し
自然と頬が緩む。
いつからだったか忘れたが、俺は気づくとレトさんのことを目で追っていて
男だとかそんなことは全く気にならずに
あぁ、レトさんのことが恋愛対象として好きなんだ。
と、自分の中で割とすんなりとその感情に落ち着いたことを覚えている。
好きな人の普段あまり見られない姿を見られるのはやっぱり嬉しく
前にレトさんが酔っぱらったときは、うっしーもガッチさんもいたから
今日の酔っぱらったとき限定の舌っ足らずなフワフワしたレトさんを
独り占めできている今のこの状況への優越感もあいまって
もう俺の緩みきった頬が締まることはそうそうないだろう。
男をおんぶしてニヤニヤしながら歩いてる俺は
はたからみたらヤベー奴なんだろーけど。
レトさんは本格的に眠ってしまったようで
さっきからレトさんの息が首筋にかかって
変に意識してしまって仕方がない。
いや、おんぶしてるし
レトさんは寝てっから仕方がねーのは分かってるけど……
ってか、今のこの状況もどうなんだ?
好きな人が酔っぱらっていて、おんぶして家まで送って行くって…
しかも家に着けば、もうその空間には2人しかいないわけで…
いやいやいやいや!!!
ぜってーしねーから!
頭によぎった下心しかない考えを全力で抑える。
据え膳食わぬは男の恥とかいうけど……
俺はぜってーそんなことしねーから!
……たぶん。
だめだ!レトさんのことになると自分でも何すっか分かんねーし
それに今のこの状況だけでももうヤベーのに……
……よし!
今日はレトさんを送ったらすぐに帰ろ
ここは紳士になるんだ、俺。
そうこう考えているうちにレトさんのマンションの前まで着いた。
鍵はレトさんしか持っていないから
俺はここでレトさんを起こしてそのまま部屋には寄らず帰ることにした。
ロビーから部屋までなら廊下とエレベーターくれーだし
流石に1人でも大丈夫だろ。
……と思っていた。
レトさんを起こし、着いたことを伝え
レトさんを背中から降ろすと
レトさんはフラフラした足取りで壁にぶつかったり、こけたり
しまいには座り込んで寝てしまいそうな様子で
この人、滅茶苦茶あぶねーじゃん。
俺は普段人に世話を焼くことはあんまねーけど
レトさんのことになるとやっぱ特別みてーで。
あんなに早く帰ろうと意気込んでいたことも忘れ
レトさんに鍵の場所を聞き、再びおんぶをしてレトさんを部屋まで運んだ。
部屋に着き、帰ろうと思っていると
レトさんが、やっぱりフラフラして壁に身体をぶつけながら歩いている。
眠気は消えたのか自分の意志で動いてはいるものの
思うように身体が動かず戸惑っているようだ。
そんなレトさんの様子を見た俺は
やっぱり心配になりレトさんの家に泊まることにした。
「大丈夫。相手は酔っ払いだ。」
俺は自分に言い聞かせるように呟いてから
レトさんに肩を貸しに行く。
どうやらレトさんは水が飲みたかったらしい。
俺はリビングのソファーにレトさんを座らせ、荷物を置いて
すぐに水を取りに行った。
「レトさん、水だよ。」
「ん、ありがとキヨ君」
店にいたときよりも酔いが落ち着いてきたようで
しっかり水の入ったコップを両手で持ち
水を一気に飲み干している。
コップの端からこぼれた水が、レトさんの首筋を伝っていて
なんというか…エロい。
いやいや!だめだろ俺!
落ち着け俺!
相手は酔っ払いだって!
呂律は回ってきててもまだ顔赤いし!
……ほんのり頬が赤いレトさんエロi
いやいやいやいや!
マジで落ち着け俺!
レトさんの行動ひとつでこんなにも動揺している俺をよそに
レトさんはいつの間にかゲーム機の前に移動していて
「キヨ君!ゲームしよ!ゲーム!」
と幼い子供の様に俺を呼んでいた。
そんなレトさんの様子にすっかり毒気を抜かれた俺は
さっきまでの動揺も忘れ、素直にレトさんの隣に座った。
まだほんのり酒の匂いがしていて、酔っぱらっている様子のレトさん。
そんなレトさんが選んだゲームはマリオカートだった。
この人酔ってんのにマリオカートできんのか?
と思っていると、準備ができたみたいで、
レースのスタートを告げるカウントダウンが始まろうとしていた。
カウントダウンが始まったタイミングで
「勝ったほうから先にお風呂ね。」
とレトさんが言う。
「おう」
と、俺は何気ない返事をした。
そうか、風呂があんのか。
不意にレトさんの風呂上りが頭に浮かび
今から見られることになるのかと思うと
自分でも分かるくらいに顔に熱が集まる。
たぶん今、酔ってるレトさんくらい俺の顔は赤いんだろう。
てか風呂って聞いただけでここまで想像するって変態かよ、俺。
俺が風呂のことで上の空だったとき
レース開始のゲーム音が高らかに鳴った。
……完全に出遅れた。
いや、でも相手は酔っ払い。しかもレトさんだ。
今からでも十分巻き返せる!
……はずだった。
酔ったレトさんはまるで酔拳のようにゲームが上手く
俺が全力で操作しても、まったく勝てる気配がないくらいの
俺の惨敗だった。
まさか酔ったレトさんがこんなにゲームが上手いなんて……
「あれあれ?キヨ君弱いなぁw」
さっきから煽ってきてくるが反論できない。
それくらいレトさんは強かった。
俺が反論できずに悔しがっていると
レトさんは満足気な顔をしながら
「じゃあ俺が勝ったし、お風呂先に入ろーっと♪」
と言い、風呂に行くために立ち上がり歩き出す。
レトさんはゲームに勝ち、酔っていることもあって上機嫌だ。
でも足取りはまだフラフラで、色々なところにあたりながら
風呂までの道を歩く。
俺は心配になってレトさんに近寄り声をかける。
「レトさんホントに大丈夫!?」
するとレトさんは
「もー、キヨ君はほんま心配症やなぁ。
そんな心配なんやったら一緒に入る?」
「へっ!?//」
いやいやいやいや////
へっ!?////
一緒に!?風呂!?
へっ!?////
明らかに俺が動揺して混乱していると
「キヨ君?一緒に入る?」
と、レトさんが首を傾げて俺を見ながら聞く。
身長差的に上目遣いになってしまうわけで。
「っ!////……入る。」
惨敗だ。
今日はレトさんにことごとく負ける日らしい。
あの顔で聞いてくんのは反則だろっ////
「ん、じゃあ早く行こーよ。キヨ君。」
レトさんは俺の返事を聞くと
フラフラしながらも風呂へ向かった。
俺もレトさんの後をすぐに追いかける。
脱衣所に入り、レトさんはさっそく風呂に入るため
服を脱いでいた。
思わず見入ってしまう。
入ってきたのに、いっこうに動かない俺に気付き不思議に思ったのか
「キヨ君?脱がんの?」
とレトさんに聞かれ
「いや!脱ぐ脱ぐ!すぐ脱ぐ!」
と慌てて誤魔化す。
するとレトさんは何を思ったのか
「俺が脱がせてあげよっか?」
と言い、俺の返事も聞かずに
俺のズボンのベルトに手をかける。
「えっ!?//ちょっ!レトさん!?//大丈夫だって!//」
俺は慌てて必死にレトさんを止める。
タオルは巻いているものの、ほとんど裸のような恰好をしたレトさんが
屈んで俺のズボンのベルトに手をかけてる構図が大丈夫じゃない。
いかがわしいことしか思い浮かばない。
なにより俺の俺が大丈夫じゃない。
俺が必死に止めようとすると、レトさんはあっさり手を放し
「じゃ、俺先に入って身体洗ってよ~」
と風呂場に入ってしまった。
「はぁあぁぁーーーー」
っと俺は盛大な溜息をついてその場にしゃがみ込む。
まだ風呂にも入ってないのに耐えれんのか?俺。
さっきから心臓はバクバクで、顔の熱が引かない。
たとえ酔っているとしても恐ろしく強敵過ぎる。
俺は深呼吸をして
「落ち着け、相手は酔っ払いだ」
と今日で二度目になる言い聞かせを自分にする。
俺は服を脱ぎ、タオルを巻き、
息を呑んで浴室のドアを開ける。
「遅かったなぁキヨ君。」
「あぁ、ごめんごめん。」
ドアを開けると
もう身体も頭も洗い終わったらしいレトさんが
浴槽に浸かっていた。
酔いとは違うほんのり赤く、濡れたレトさんがエロい。
俺はあまりレトさんを見ないように
身体を洗い始めることにした。
するとレトさんが
「背中流したげるよ!キヨ君!」
と凄い発見をした子供の様にキラキラした目で言う。
「いいって、レトさん。大丈夫だから」
一瞬レトさんが可愛くて、ついオッケーを出しそうになったが
そうなるとまた俺が追い込まれることになると気付き断った。
「…そう?」
レトさんは俺の返事を聞くと
さっきまでの勢いはどこへやら
シュンとしてしまった。
俺は気にしないようにしようと思ったが
…やっぱり俺はレトさんに甘いらしい。
「やっぱ背中流してよ!レトさん。」
とレトさんに言っていた。
「うん!」
レトさんはシュンとして下がっていた顔を上げ
浴槽から上がり、背中を流す準備を鼻歌まじりに始める。
相変わらず滅びの歌になってっけどw
そんなとこも可愛いと思えてしまって
上機嫌なレトさんと一緒に顔がニヤける。
「じゃあお背中洗いますよ~」
準備が終わったのか、レトさんが俺の背中を洗い始める。
予想はしてたが
レトさんの手が俺の背中に触れて撫でられるような感覚に
自分の余裕がなくなってくるのを感じる。
やっぱ断ったままでいればよかったと
数分前の自分を少し恨む。
「キヨ君おっきいなぁ。背中」
「へ?//ぁあ、そりゃー身長もそれなりにある方だしね」
「自分で言っちゃうの?それw」
おっぶねー、大きいなんて言うから完全に勘違いした。
なんか俺、さっきからすげー変態みてぇ。
「じゃあお湯で流しますよ~」
どうやら背中を洗うのは終わったらしい。
俺は耐え抜いたことに安心して息をつく。
だが背中を流すことは終わったが
2人で風呂という状況は変わっていない。
身体も頭も洗い終えた俺は
これ以上レトさんといると
何をしでかすか分からないから
風呂には浸からず上がることにした。
俺が浴室から出ようと、ドアに手をかけたとき
「あかんよキヨ君、まだお風呂浸かってないで」
と、レトさんに腕を掴まれて止められる。
「俺今日は浸かるのいいや」
そう俺が言うと
「お風呂浸からんと疲れとられへんよ?ほらキヨ君!浸かるで!」
と掴まれていた腕を引っ張られ
浴槽に連れていかれる。
ーーーーーーなんの拷問だ?これ。
浴槽に連れていかれ、
てっきり俺を浸からせてレトさんは先に風呂から上がるものかと思っていたら、
まさか一緒に風呂に浸かるとは……
いや、嬉しいんだぜ!?嬉しいんだけどさ
風呂自体は狭くねーけど
やっぱ成人男性2人はキャパオーバーらしく
さっきからレトさんの身体が俺に触れまくりで
触れてる身体の部分に意識がいって
疲れが取れるどころの話じゃない。
俺の俺がまた危険にさらされている。
耐えるんだ俺!
一緒に入っているのはガッチさんだと思え…!
そんな俺の思いも知らず、レトさんは相変わらず上機嫌で滅びの歌を鼻歌で歌っている。
俺はもうレトさんのことを意識しすぎておかしくなりそうだ。
好きな人と2人で風呂に入って何もできねーなんて、まるで拷問だ。
さっきから浴室に立ち込めている湯気でさえ甘い匂いにさえ感じられ
俺をクラクラさせる。
俺は我慢の限界で
もういっそここで想いを伝えてしまおうかなんて思い、口を開こうとすると
「じゃあ俺もういっぱい浸かったし、先に上がるねキヨ君」
とレトさんが浴槽から上がりながら言った。
「お、おう」
俺は少し動揺を見せてしまったが、ばれないよういつもの調子で返事をして
浴室から出ていくレトさんを見届ける。
どうやらもう酔いでフラフラすることはなさそうだ。
俺は浴室のドアが閉まると同時に浴槽にもたれかかり、溜息をつく。
天国のような、地獄のような、よくわかんねー時間だった。
さっきまでのレトさんを思い浮かべようとしてすぐにやめる。
せっかく耐え抜いたのにここで思い出しては全てが水の泡だ。
俺もしばらくして風呂から上がった。
俺が風呂から上がり脱衣所の棚を見ると
来客用の新品の下着と、レトさんのスウェットの上下が置かれていた。
どうやらこれを寝間着に使えということらしい。
俺は湯冷めしないうちにと早々とそれらを着る。
スウェットはレトさんのもので、俺には少しサイズが小さいのが愛おしく感じる。
レトさんの匂いがして少しドキッとした。
「おーい、レトさん?」
着替え終わった俺はレトさんがいるであろうリビングのドアを開ける。
そこにはソファーの上でウトウトと眠そうなレトさんがいた。
「おーい、レトさん!寝るならベッドで寝ねーと風邪引くぞ!」
俺はレトさんに寝室で寝るように声をかける。
眠そうなレトさんを見ていると俺もだんだん眠くなってきた。
俺は自分が寝る用に来客用の布団を敷くことにした。
来客用の布団は前に何度かレトさん家に泊まったときにも使ったから場所は分かる。
だが、前にあった場所に布団はなく
レトさんに聞くと
「う~ん…確か……クリーニング?」
と記憶を辿りながら答える。
「まじかぁ…じゃあ俺このソファーで今日寝るわ」
クリーニングなら仕方がないと
毛布だけ準備しようとしていると
不意にスウェットの腕の袖を掴まれ、クイクイと軽く引っ張られる。
振り返るとレトさんが袖を掴んだまま
「一緒に寝ればええやん」
と言う。
俺のスウェットの袖を掴みながら上目遣いで言うレトさんは
破壊力抜群で
俺を動揺させるには十分過ぎるくらいだった。
俺が動揺していて、しばらく返事を出せないでいると。
「キヨ君は俺と一緒に寝るのいや?」
と若干涙目になりながら不安げに聞いてくる。
そんなレトさんの様子を見て
動揺から焦りに変わり
「いやじゃない!」
と大声で即答してしまった。
レトさんはそんな俺の反応に驚き、少しの間目を大きく開け
それから安心したようにふわっと笑い
「じゃあ決まりやね」
と言う。
あぁ、ほんとに今日の酔ったレトさんは恐ろしい。
俺を何度も簡単にレトさんに惚れ直させるんだから。
さっき俺に起こされたとはいえ、眠気は健在の様子なレトさんは
どうやらすぐに寝るらしく
寝室に移動するレトさんに俺もついていく。
寝室に入りベッドを確認したが
1人で寝る分には広いが
成人男性2人で寝るにはやっぱり狭そうで、
「やっぱり狭くね?」
とレトさんに言うと。
「それなら大丈夫!」
と何故か自信ありげなレトさんが
先にベッドに入り隣に俺が入れるくらいのスペースを空け
空いたスペースをポンポンと手で叩いてこっちを見る。
どうやら”ここに来て”という合図らしい。
俺は覚悟を決め、レトさんの隣に入る。
俺がベッドに入るとレトさんが急接近してきたかと思えば
レトさんが両腕を使ってぎゅっと抱きついてきて
「えっ、ちょっ//、レトさん!?//」
と俺が状況を呑み込めないでいると
「こうやってぎゅってしてれば狭くないんよ!キヨ君!」
と、すごく得意気な顔をして言ったかと思うと
「じゃあキヨ君、おやすみ~」
と返事をする間もないまま
レトさんは俺に抱き着いたまま眠り始めた。
「おっ、おい!レトさん!?////」
そう焦りながら声をかけても返事はもうなく
代わりに規則正しい寝息が聞こえてくるだけで
「勘弁してよ…///レトさんっ///」
という俺の声は誰に届くこともなく
しばらくの間、俺は真っ赤になっているであろう顔を手で覆い隠し
レトさんの体温を感じながら動けないでいた。
しかし、いつまでもそうしているわけにはいかない。
酔っているとはいえ、今日一日レトさんに振り回されっぱなしな俺は
少しでもの反抗と思い
枕元に置いてあったスマホでレトさんの寝顔を写真におさめ
眠ってからもいっこうに俺に抱きつく力が緩まないレトさんを
抱きしめかえし、俺も眠ることにした。
ーーーーその考えが間違えだった。
抱きしめかえしたことによって
さらに近くなった距離が
レトさんの体温や吐息を感じさせて仕方がない。
この人はこんなにも無防備で大丈夫なんだろうか。
よく今まで誰にも襲われなかったな。
まぁ今俺が襲いそうになってんだけどさ。
「ちょっとなら、いいよな」
口にキスすると止まらなくなると思った俺は
レトさんの前髪を横に流し
出てきたおでこにそっと触れるだけのキスをした。
それから理性が切れそうなギリギリを
ひたすら朝まで耐え抜くことになるとも知らずに。
「好きだよ。レトさん。」
そう呟いて。
rt side
目が覚めて隣を見ると
いつも日本トップ4でお泊りをすれば、一番最後まで寝ているキヨ君が珍しく早起きで
何故か死にような顔で
「おはよ、レトさん」
と言いながら、ベッドからのそっと起き上がる。
「おはよキヨ君、どしたん?死にそうな顔して」
俺はとりあえず気になったことを投げかける。
「ん?いや、なんでもねーよ」
とすぐにキヨ君にはぐらかされてしまった。
俺も深くは聞かず
とりあえず朝ごはんでも作るか、と思い
「キヨ君朝ごはん何がいい?」
と一応キヨ君の意見も聞いてあげる優しい俺。
俺の質問を聞き、すごく眠そうなキヨ君は
大きなあくびをしながら
「俺朝ごはんいいや。急用入っちゃったからもう家帰んないと。」
と言い、寝間着から昨日の服に着替え
帰る準備を始めた。
「キヨ君いないなら朝ごはん鮭フレークにしよ~」
「また食あたりすんじゃねーの?レトさんw」
「もうせーへんよ!流石に!」
「おっ、流石フラグ一級建築士」
「やめろやめろw」
そんないつものようにくだらない会話をしながら
キヨ君を玄関まで見送る。
「そういやレトさん二日酔いとかじゃねーの?」
キヨ君が靴を履きながら
不意に俺に聞く
「うん。頭とか痛くないし、いつも通りみたい。」
俺がそう言うと
「昨日のことは?なんも覚えてねーの?」
と聞かれ、
「うーん……まったくないかも。」
それを聞いたキヨ君は
「そっか」
と少し悲し気な顔をして言い、玄関のドアを開ける。
その瞬間外の冷たい空気が入ってきて
寒くて身体が縮こまる。
「じゃあまたね。キヨ君」
俺がそう言ってキヨ君の方を見ると
「レトさん、俺以外の奴とはぜってー酒飲むなよ」
と言われ
いつになく真剣な顔つきをしたキヨ君に圧倒され
「うん。」
と答えていた。
それを聞いたキヨ君は安心したように
「じゃっ!またな!レトさん!」
と言って
眠たそうにフラフラと帰っていた。
俺は身体が冷えないように
暖房の効いたリビングに早々と戻り
ほくそ笑む。
キヨ君は気付いたんだろうか。
俺が昨日、実はお風呂から上がった辺りから
もう酔っていなくて、酔ったふりをしていたことに。
きっと気付いてないんやろうなぁ。
俺は昨日キヨ君にキスされたおでこの部分に触れながら
「俺も好きやで。キヨ君。」
そう呟いた。
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