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始まりの値段は100円でした2
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仁科 遥(ニシナ ハルカ)と名付けられ歩む僕の人生は極めて特別なものという訳ではなかった。
でも僕はこの人生に満足している。
文句もないし、何なら平穏な時間が流れてくれるのは幸せだ。
「あ、これ新商品だ……」
これと言って目立つものを持っていない僕だけど唯一と言える特技が一つだけ。
クレーンゲーム……、ゲームセンターに設置されているあのクレーンゲームだ。
僕の唯一の特技で数少ない趣味。
特に大きめのぬいぐるみを取るのが好きで、最近は置き場がないと母に怒られた。
それでもやっぱり好きなものは好きで…
こうしてゲームセンターに足を運んでしまう自分がいる。
駅前のゲームセンターの方が家から近いのだけれど、僕はあえて少し離れたここを選んでいる。
理由は単純でこっちの方が人が少ないから。
駅前のゲームセンターは賑わっている分、柄も悪い。
僕が通う高校の生徒も出入りしているけど、その殆どが不良って言われる人達ばかりで近付くのが怖い。
だって僕なんか入口で財布取られるのが落ちだろうし……。
ここは小さいけれど新商品は定期的に入るから、僕の遊び場としては十分なんだ。
テスト明けの今日は勉強中に溜まったストレスを吐き出そうと意気込んで来た。
そんな僕が足を止めたのは新商品のポップが貼られたゲーム機の前。
中には大きい猫のぬいぐるみが入れられている。
「………不細工。」
と思わず呟いてしまうぐらいには不細工な猫だった。
でもなんか憎めないような顔……。
1play100円、か………。
よし、今日はこれにしよう。
新商品の誘惑と取りにくそうな形状に腕がなる。
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