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始まりの値段は100円でした3
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まずはぬいぐるみの狙い目を見定める。
重心は頭っぽいなぁ……。
アームの爪は首か脇か……いや斜めに入れようかな……三爪だし頭を挟もう。
一人心地に頷いて100円玉を投入するとクレーンが初期位置へと動き始めた。
制限時間が設けられてるようで手元のディスプレイは90秒からカウントダウンを始める。
ふふ、この緊張感が堪らなく好きなんだよね。
まずは横矢印のボタンで左右の位置を決めて、上向き矢印のボタンで奥行きを決める。
この奥行きは特に大事だ。
この距離感を間違うと絶対に取れない。
もう少し手前……いやワンプッシュ奥かな…。
よし、ここ!
時間50秒を残して、僕はクレーン落下ボタンを押した。
クレーンは少し角度を付けながらぬいぐるみに向かって落ちていく。
爪は狙い通りの位置に入り、ぬいぐるみを持ち上げた。
よし、いいぞぉ……あとは……。
こんな重たいぬいぐるみをこのクレーンが運びきれるとは思ってない。
問題は落とす瞬間、振り子のように勢いをつけて落とし口へ投げ込めれば……。
ぬいぐるみがクレーンから離される瞬間、気持ちが最高潮に高ぶる。
頭から落ちていくぬいぐるみは、落ち口の壁にぶつかると滑り落ちるように取り口へと吸い込まれていった。
「やっーー」
「ーーすげーっ!」
僕の喜びの声よりはるかに大きな称賛の声が頭上から降ってくる。
「……え?」
見上げた視界には青空……ではなく、綺麗な水色に染められた頭があった。
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