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始まりの値段は100円でした9
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言い合いをやめない二人を他所に、末岡くんがこっそりと耳打ちをくれる。
「羽呉 真夏(ハゴ マナツ)と羽呉 真冬(ハゴ マフユ)見ての通り双子の兄弟な。真夏が兄、真冬が弟。見た目そっくりなのに性格は全然似てねーの。面白いだろ?」
「は、はぁ……」
「あんな子供みたいな喧嘩してるけど一個上の三年生だから。」
クスクスと笑う末岡くん。
僕は全然笑えない。キャラが濃すぎて容量オーバーだ。
「んなこと言ったらお前が足の速さ負けたの気にして一人でトレーニングしてたこと言いふらすからな!」
「見てたんですか?いつの間に…」
「はっ、俺に隠し事なんて出来るわけねーだろ!」
「……全くもって可愛くないですね。真夏が可愛くなるのはベッドの中だけだ。」
やれやれと肩を竦めた真冬先輩に真夏先輩は更に顔を赤くさせた。
「なっ……おまっ…何言ってんだ!」
「何がです?私はただ寝起きの真夏は可愛いと言いたかったんですよ。まさか厭らしい想像でもしました?」
意地悪そうに笑った真冬先輩、こっちが本性らしい。
「し、してねーよ!」
「顔、真っ赤ですよ?」
真夏先輩は舌打ちをしてそっぽを向いた。
「二人はね、仲良しツインズなんだよぉ。」
白石くんの解説に、どこがだよ!と真夏先輩の鋭いツッコミが入れられた。
「お見苦しいものをお見せしましたね。羽呉 真冬です。あっちの少し馬鹿そうなのは真夏、一応私の兄です。」
「誰が馬鹿だ。馬鹿って言う方が馬鹿なんだよ、ばーか。」
「はいはい、そうですね。」
まあ、仲良しってのも頷けはする……かな。
「ええっと……」
首を傾げて僕を見下ろした真冬先輩を見て、そう言えば自己紹介がまだだったと思い出す。
「あ、えっと……仁科 遥です……」
「あー?聞こえねーよ。」
「ヒッ………あ、すみません……」
真夏先輩がわざとらしく耳に手を当てて、僕を見る。
こ、怖いよぉ……不良先輩が僕を睨んでくるよぉ………。
「だからビビらせんなって。仁科震えちゃってるじゃん。」
助け船を出してくれたのは末岡くん。
ポンっと頭に置かれた手に、少しだけ安心した。
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