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始まりの値段は100円でした16
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ゲームセンターの斜め向かい。
そんな近くにあるハンバーガー屋は当然若者の良い溜まり場で、ここでも末岡くんたちは人目を惹く存在だった。
店内に入れば何人かと挨拶を交わす面々……に対して僕はと言えば完全に空気だ。
このまま空気と同化して帰ってしまいたいけれど、首に回された腕が許してくれない。
「何食う?」
僕の帰宅を笑顔で阻止している末岡くんは、メニュー表と睨めっこしながら僕に問う。
「えっと……じゃあハンバーガーで…」
一番シンプル且つ、一番安いメニューだ。
「それだけ?」
驚いた顔をする末岡くんに十分だと返せば、だから細いんだぞとポテトのセットを追加された。
末岡くんはと言えばチーズバーガーを三つとこれまたポテトのセット。
末岡くんだって細身な方なのに、どこにそんなに入っていくんだろうか…。
出された商品を手に取り、末岡くんと空いてる席に腰を下ろした。
僕らの後ろに並んでいた真夏先輩と真冬先輩も合流して各々食べ始めると、ある事に気が付いた。
目の前に並んで座る真冬先輩と真夏先輩が、同じ動作同じ順番でものを口にしていた。
ドリンクを飲んで、ポテトを食べて、また飲んで………まるでシンクロしているようだ。
「凄い……」
思わず見つめながら呟いてしまった言葉に、真夏先輩の鋭い眼光が飛んでくる。
「ヒィッ…ご、ごめんなさい!お二人が同じタイミングで同じ食べ方をしていたのでつい……」
謝る僕に真冬先輩はクスクス笑って、なるほどと呟く。
「確かに同じものを食べるときはタイミングが合うことが多いですね。でも味の好みは違うんですよ。ねえ?」
真冬先輩はニコニコと隣の真夏先輩に微笑み掛ける。
「ケッ……」
真夏先輩は面白くなさそうに返すけれど、真冬先輩は更に楽しげに笑った。
「そんな可愛くない態度すると食べてあげませんよ?」
真冬先輩の言わんとすることが分からないけれど、真夏先輩にとって都合の良いことではないらしい。
「真夏は良い子だから食べ物残したくないのでしょう?」
「ぐっ…………」
悔しそうに手の中のチーズバーガーを見つめる真夏先輩に、僕の頭の中は疑問符だらけ。
「真夏はチーズバーガー好きだけど中に入ってるピクルスが苦手なんだよ。」
僕の隣の末岡くんもまた楽しそうに笑いながら教えてくれる。
「でも食べ物残したくないって良心が強くて毎回苦虫を噛み潰したような顔して真冬に頼むんだ。」
案外可愛いとこあるだろ?って言う末岡くんには珍しく同意。
うん、なんか意外かも……。
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