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そんな記憶しかない公園に、母親が俺の手を引き中心部にある大きな噴水がある所へと向かっていた。
そこに立つのは知らない大人の男の人と俺よりも少し小さい男の子がこちらを向いて並んで立っていた。
「お母さん?」
その時になって、やっと声が喉を通って外へと這い出てきた。
急に不安が込み上げ、助けを求めようと母を見たが、花が咲いたように笑い幸せに包まれている人を困らせることは出来ず、子供ながら母親が何を思って自分をここに連れてきたのが少しは分かった気がした。
「初めまして、明君。私は田所将道です、こっちは息子の紅河(こうが)で明君と同い年だよ」
母親と同じで花が咲き誇ったような幸せの表情をしていた。
低い目線に合わせて腰を下げる男性は決して悪意のない、俺という一人の個体に優しく歩み寄ってくる。
手を取り握手を交わし男の目をはっきりと見て驚いた。
綺麗な深緑をしたその瞳に引き込まれそうになり、思わず目を逸らすと、男性の後ろに立つ男の子に目が留まる。
真っ黒な黒髪で肌は雪のように白く、瞳が燃えるように真っ赤に染まり、不思議とその瞳から目がはなせなかった。
じっと見ていたせいか、男の子は慌てて片手で瞳を覆い隠した。
「あ・・・・」
この公園の中心にある彫刻が施された立派な噴水よりも、花が咲いたように綺麗な笑顔をする母親や目の前の男性よりも、綺麗だと思ったその瞳が隠されたことに胸には残念な気持ちしかなかった。
「あぁ、紅河の目が・・・・気になったのかい?」
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