アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
そう話しかけてきた男性は困った表情を浮かべていた。そして男の子は酷く怯えていた。
どうしてそうなってしまっているのか、幼い俺には理解し難いことであったが、心の中で引っかかっていたものを手繰り寄せ言葉を並べ離した。
「うんっ!だってね、すっっっっごく綺麗なんだ!!」
「綺麗?」
男の人は深緑の瞳を大きく輝かせて驚いた表情をしていた。そして少し潤んだその瞳も、俺は嫌いにはなれず、むしろ好きだと思った。
「綺麗だよっっ!!大きなアメ玉みたいで、すっごく美味しそう!!!」
『美味しそう』そう言った瞬間、母親と男の人は口に手を当て、クスクスと静かに笑い出した。
その笑いの意味が分からず、何がそんなにおかしかったのか分からなかった俺の目の前には、先ほどまで姿を隠していた男の子が大粒の涙を流しながら立っていたのだ。
真っ赤な瞳により光沢がかかり、一層綺麗で美味しそうに見えた真っ赤な瞳。こぼれ落ちるのを防ぎたくて、咄嗟に手を伸ばし服の袖で涙を拭い、目を押さえた。
「落ちちゃう。なくさないでよ?」
「・・・・・・うん、・・・・・・あ、ありがと」
どうして『ありがとう』と言われたのかよく分からなかった。
自分が起こした行為にお礼を言われる筋合いはなかったのだけど、やっぱり人から言われた感謝の言葉は、何よりも嬉しいものだった。
「俺!山村明!!よろしくなっ!!紅河!!」
「あ・・・・よ、よろしく」
止まらない涙を流しながら笑顔になった紅河。
真っ赤で大きな瞳が半分ほどになった表情が、たまらなく自分の胸を温かくさせた。
音が鳴り止まない、おかしな電流が全身を駆け巡る。
そんな状態の俺に、男の人、田所将道さんは俺の幼い頭ではまだ理解できないことを言っていた。
「明君、私と紅河はね、獣人なんだ。これからもよろしくね」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 67