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走っても意味もないいつもの通学路。
家を出て少し進めば駅へと辿り着く。
ちょうど学校へと向かう電車が来ていたみたいで俺は急いで飛び乗り、いつもより落ち着いていた電車内を見渡した。
いくつか座る場所は合ったものの俺はいつもの定位置、扉付近へと行き立ったまま外の風景を眺めていた。
何も変わらない、いつもと同じ風景にホッとして胸を撫で下ろす。
電車はスピードを出しているのでほんの一瞬だけど目に止まったものがあった。
「紅河?」
同じ高校の制服のはずなのに、違う制服を着ているのではないかと疑うくらいに着崩した生徒が数人見えたと思えば一人の男子生徒に見覚えがあった。
身長が群を抜いて高く真っ黒な髪を後ろに流し、耳にはいくつかのピアスを開けて、そして真っ赤な瞳でどこか遠くを見ていた。
初めて出会った時の面影は今はなく、別の誰かに見える弟の紅河が不良と呼ばれるグループと仲良くしている姿なんて、今は見たくなかった。
※
幼い時の紅河は、獣人にしては珍しいその容姿のせいでよく虐められていた。
真っ黒の髪は日本人特有のもので、わざと染める獣人もいたけれど紅河は生まれついて真っ黒の髪に、これまた珍しい、真っ赤な瞳を携えてこの世に生まれ落ちた。
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