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「大丈夫、ここには俺だけしか居ないけど、・・・・・・俺が明を守るよ」
その声はとても優しくて、嘘なんて一つもないのに今の俺には何も響かず、きっと紅河も居なくなると、心の隅で俺は1人思った。
心が歪んでいて、いい気分とは言えなかった。
少しの時間、紅河の腕の中でいた俺はさすがにもう離れないとと思い、紅河に「ごめん」と「ありがとう」を伝え体を引き剥がした。
目の前にはいつもの紅河なのに雰囲気が違って見えたが、
(そうだ、髪がおりてきてるんだ・・・・)
いつもはオールバック姿の紅河だったが今は髪を全て下ろし、ラフな格好をしている。
学校は?と疑問に思ったがそれはゆっくりと後で聞くことにし今は一緒に一階へと降りた。
母親か将道さんが居ると思ったが2人の気配も姿もなく、どうやら本当に俺と紅河の2人だけのようだった。
俺はそのまま紅河に支えてもらいながらソファへと腰を降ろす。
紅河も隣に座るかと思いきやキッチンへと行き冷蔵庫を開けて飲み物とコンビニで買ってきたのかおにぎりを取り出し俺へと差し出した。
「食うだろ?」
「ん、あ、ありがとう」
少しぎこちない返事を返してしまった。
さっきまで紅河の胸の中で泣いていたから、遠慮もクソもないのだが、冷静に考えれば弟の胸の中で泣くとか、普通に考えて気持ち悪いことをしてしまっていた。
それに紅河と久しぶりに顔を合わし声を交わした気がする。
ここ最近本当にろくな会話もなかった俺と紅河。
横に座る紅河の横顔を盗み見て、綺麗な黒髪と瞳を見てホッとする俺が確実にそこにいた。
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