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すぐに後ろを振り返り、二階にある自室を目指した。
リビングを飛び出す前に紅河の方を見ればまだ夢中で俺の血を舐めていた。
階段を駆け上がり、一番奥にある自分の部屋の扉を開けて閉めようとした瞬間、黒くて毛深い腕に手首を掴まれ扉も勢いよく開けられ、俺の逃げ場は完全に失った。
ガタンと大きな音がした方を見れば扉は外れてしまい床に倒れてしまっていた。
人外と人との力の差を見せつけられた俺は腰を抜かしその場にへたり込んでしまう。
「紅河?・・・・・・紅河、俺が誰か・・・・わかるか?」
目の前には四肢を床につけて座りじっと俺を見ていて、その姿は大型の犬、いや、獣そのものの紅河が目を見開き俺をじっと見ているのだ。
声をかけても反応がなくて、いつ手を出そうかこちらを伺うばかりで、微妙な距離があいていた。
その場から一歩も動くことができない俺は紅河に対して恐怖も感じていたけれど、それとは別に違う感情も感じていたが、はっきりとそれがなんなのかは理解できなくて、考えても考えても今の状態では何一つとしてまとめられることが出来ず、ただただ泣くばかりだった。
「・・・・・・あ、・・・・かり・・・・・・」
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