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ルイとイクサ
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コツコツと、コンクリートの床を革靴が鳴らしていく。
薄暗い長い廊下を進み、角を曲がろうとしたところで涙は止まった。
「何かご用ですか。」
影に向かって淡々と発すれば、暗がりから1人の男が現れた。
「戦…」
イクサと呼ばれたその男は涙と同じ黒髪、だが、スーツ姿の彼とは正反対のラフな服装をしていた。
小さな灯がシルバーのピアスに反射している。
「どーした?ルイルイなーんか不機嫌じゃん?」
足音たててんのめーずらし。
戦の言葉に対し、涙は足元に一瞬目を落としただけで表情は変わらなかった。
「本当、無表情。ライ様はなんでわかんのかってくらい…って怒んなよ?!」
涙の冷ややかな眼差しに気づき、戦は慌ててなだめた。
「怒ってなど…」
「いや怒りだけはわかりやすいからな?!…はぁ…ライ様大好きだなあ…まあ、俺もだけど。」
ライの直下の部下であり、もはや取り巻きのような2人は心の底からライを慕っていた。
ライに対するその感情は愛とも恋とも尊敬とも…どんな言葉にも変え難いものであった。
その歪んだ感情の影響は調教にまで及ぶことも多く、皆2人を恐れていた。
「で、今回なんて言われたん。」
それほどまでにライの存在は2人にとって大きい。比較的感情を見せない涙でさえ、ライが絡むと感情豊かだ。
涙はやや俯きつつ、息を吐いた。
どうやら戦は引かないようだ。
重たい口を渋々開く。
「彼の…名前が、…すき。だと…」
『あら、倫也って言うのねこの子。いいわねえ…好きだわぁ。』
リストを眺めてうっとりとライはそう言っていた。
『この子のご飯、涙お願いね。』
………
「そいつは…」
涙の言葉に陸は固まった。
そして口角を上げて、ニッコリといい笑顔を浮かべ…
「苛つくわぁ…」
楽しそうな声色。
しかしその瞳は暗く、深く…真っ暗な闇を宿していた。
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