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6、冷たい棘
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明かりがついて、部屋の全貌が明らかになる。
真っ白で味気のない壁と天井。
部屋の中央には鎖が伸びており、鎖の下には手枷がついていた。
壁には何に使うかも分からない道具が並んでおり、中にはハサミのような形も見受けられる。
大広間とは違い質素で味気のない部屋だった。
「吊しとけ。」
金髪の男が少年に命令する。
「はい」
少年が肩から僕を降ろす。
「抵抗しないでくださいね。」
茶髪の青年が近づいてきてそう言うと、あの時の紙を取り出してまた何か囁く。
すると見る見るうちに体を縛っていた糸が消える。
「あっ、あのっ!」
「しー」
口元に紙を貼られる。
紙を貼られた瞬間言葉が出なくなる。
(な、なんで?!)
そのまま青年に引っ張られ中央から垂れている手枷を付けられる。
手を動かすと鎖が音を立てる。
ギリギリ足が着くくらいの長さでほとん動出来る範囲がほとんどない。
「兄さん、終わりましたよ。」
「ん?あぁ」
金髪の男が近づいてきて僕の顎を掴む。
口に付いた紙が思いきり剥がされる。
「おい、お前。何者だ?」
その場の空気を凍り尽くすような低い声で問われる。
「ぼ、僕は堕天使じゃないんですっ!」
突然の問いかけに頭に出てきた言葉がこれだった。
「…じゃあなんで羽根も髪も黒いんだ?」
少し間を置いてから男がまた口を開く。
威圧感が物凄い。
「突然変異で…!」
必死になって弁解しようとする。
「突然変異?…突然変異種のことですか?」
茶髪の青年が口を開く。
あぁ、と納得するように1人で頷いて金髪の男の方に向き変える。
「以前本で読んだことがあるんですよ。極稀に突然変異種というのが誕生することがあるらしいですよ。まさかほんとにいるとは思っていませんでしたが…」
「そうか…だが、外には出せないな。」
「そうですね。普通の人から見れば堕天使の様な見た目ですしね。」
「それに、こいつは…」
「兄さん、ダメですよ…」
少しの沈黙。
ただの兄弟の会話だろうがどこか違和感がある。
とにかく話は全く読めないが、とりあえず誤解は解けたらしい。
「とりあえず、お前を外に出す訳にはいかねぇ。」
「そんな…。」
ガックリして肩を落とす。
「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。」
茶髪の青年が自己紹介をし始める。
「僕は次男の玲桜と申します。以後お見知り置きを。」
”玲桜”と名乗った青年はぺこりと一礼する。
「僕は三男の美咲桜だよ。」
”美咲桜”と名乗る少年もレオに続いて一礼する。
「…」
金髪の男はそっぽを向いて何も言わない。
「…この金髪の人は桜久間といいます。長男で僕達の兄です。」
痺れを切らしたように玲桜が口を開いた。
”桜久間”と紹介された男は相変わらずこっちを向こうとしない。
「で、お前、名前は?」
突然美咲桜に聞かれて驚く。
「えっ、?!あ、僕はルナと申します…い、一応特級天使です…」
自己紹介しない訳にも行かないので軽く自己紹介をする。
「あの…これ外してもらってもいいですか…?」
恐る恐る聞くが玲桜は
「駄目ですよ」
と微笑みながらかえした。
(な、なんで…)
誤解が解けたなら外して貰ってもいいだろうに彼らは外してくれない。
すると美咲桜が口を開いた。
「ねぇ、玲桜にぃ、桜久にぃ、特級天使って美味しいのかな?」
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