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バイバイ
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「ゆーちゃんおはよー」
教室に入って真っ先に聞こえた声。
けーちゃんだ。
けーちゃんは、自身の席から俺の方を向いて左手を軽く振っていた。
「おは……ッ……。」
それに答えようと左手をあげようとして思いとどまる。
そうだ、けーちゃんと距離を置かないといけないんだ。
俺は中途半端に上がりかけた手を下ろすと小さくため息をついた。
そんな様子をけーちゃんは、不思議そうに見ている。
俺は、出来るだけけーちゃんの顔を見ないように下を向いて席に向かった。
「ゆうちゃんどうしたの?」
席に着くと心配そうな声でたずねられる。
俺は、それに「なんもない」と一言返すとうつ伏せた。
そんな俺に、けーちゃんは何かを言おうとした様だけど先生がきた事により中断される。
そっからは、授業が次々と過ぎていった。
休み時間の合間もずっと寝たふりを続けて、今はもう昼休み。
「ゆーちゃん、今日も一緒にご飯いこー?」
いつもと変わらないトーンで話しかけてくる。
その言葉に「いいよ」と言ってしまいたくなるが康介を思い出して断った。
「ねぇ、ゆーちゃん。 俺なんかした?」
けーちゃんは眉を下げて聞く。
「……」
「何かしたならハッキリ言って?」
違う。けーちゃんは何もしてない。
何も悪くないんだ。
でも……。
「ごめん、けーちゃん。 もう、けーちゃんと話したくない」
これ以上関わってたら、又前みたいになるから。
けーちゃんは酷く傷ついた顔をして
「なに、それ……。 ッ、もういいよ。 一人で食べるから、バイバイ」
バイバイ。
そう言って、けーちゃんは教室を出て行った。
バイバイか……。
そうだよな、俺が悪いんだもん。
これで良かったんだ。
だよな……
___康介。
何か頭がボーッとして康介の顔が思い浮かばないけど……。
でも、それでいいや。
フッと身体が重くなって、気づいたら冷んやりとした硬い感触が頬にあたっていた。
身体が熱くて、頭がボーッとする。
「 ゆーちゃん___」
誰かが俺の名前を呼ぶ声が遠くに聞こえてそのまま意識を失った。
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