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啓太sid 綺麗な……
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ゆーちゃんに、もう話したくないって言われて不意に泣きそうになった。
辛くなって、その場を離れたくなってけーちゃんに「バイバイ」と言った。
それで。
教室を出て行った。
ガタンッ___
「古谷君!? 」
教室を出てすぐに、何かが倒れる音とクラスメイトの叫び声が聞こえる。
古谷君って……
ゆーちゃん!?
すぐに引き返して教室に入ると、赤い顔をした苦しそうなゆーちゃんが床に倒れていた。
「……ッ!?」
俺は足早に近づくと、ゆーちゃんを抱きかかえる。
「あっつ……」
そっとおでこに乗せた手が熱い。
完全に熱がある。
苦しそうに息をはく。
俺は、そのままゆーちゃんを姫だきにすると立ち上がった。
保健室につれていかないと。
「ねぇ、ゆーちゃん保健室に連れてくからさ先生に言っといて」
唖然とたってる生徒にそう伝えると教室を出た。
保健室に着くと、両手が塞がって居るので足でドアを開けた。
保健の先生は居ない様で室内はシーンとしている。
ゆーちゃんを白いベッドに寝かせると先ほど開けたドアを閉めた。
ゆーちゃんの看病をしたいのだが何故保健室にはそう言った目的でしか使わなかったものだから何がどこにあるかわからない。
保健室内を行ったり来たりしながらタオルを探す。
やっとの事で奥のタンスにあるタオルを見つけると水で濡らして、絞ってからゆーちゃんの所に行った。
相変わらず、ゆーちゃんは苦しそうに息をはいている。
「ゆーちゃん……」
サラリとゆーちゃんの前髪をよける。目は、きつく閉じられていて瞳の色は見えない。
でも、睫毛は長くて肌は白くって綺麗で。
目を覚まして笑ったらどれほど綺麗なんだろうか。
少し残念に思いながらも、そっとおでこにタオルをのせた。
「康……介……」
ジッとベッドの脇に座って居るとゆーちゃんが何かを呟いた。
「康介……。」
康介。
ゆーちゃんは確かにそう言った。
康介って一体誰なんだろう。
何かにうなされているようにその名前を呼び続ける。
康介。
康介。
康介って。
ねぇ、ゆーちゃん。
そいつは、ゆーちゃんの今朝の態度に、
不意に辛そうな顔する事に
笑わない事に
関係があるの?
ゆーちゃんが顔を隠すのは、そいつが原因?
「ねぇ、ゆーちゃん……」
「……康介」
違うよ。
今そばに居るのは、康介じゃない。
啓太なんだよ。
ゆーちゃん、どうしてそんな泣きそうな顔でそいつの名前を呼ぶの?
ゆーちゃんの頬に触れながらまだ名前を呼び続けてる事に顔を歪める。
「……け……ちゃん……」
「……え」
不意に名前を呼ばれた。
「どうしたの……?」
「けーちゃん……行かないで……」
「ッ……!?」
ゆーちゃんは、涙を流し必死に手をのばして彷徨わせる。
もしかして俺の言った、バイバイって言葉を気にしているのだろうか。
何かを探すように伸ばされた手を、ギュッと握ると落ちつかせるように言った。
「ゆーちゃん、大丈夫だから」
大丈夫。
どこにも行かないから。
何かで悩んでるなら力になるから。
泣かないで。
ゆーちゃんの涙を人差し指でそっと拭うとゆーちゃんの瞼が数回震えて目を覚ました。
長い睫毛の奥に見えたのは、想像どうりの綺麗な瞳だった。
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