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キスとあいつ
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「え……?」
今、耳に入ってきた言葉が信じられなくて聞き返した。
「だぁかぁらぁ、キスしてもいいよって」
早くしろと言わんばかりに、んーっと唇を突き出す。
「まって、ゆーちゃん急にどうしたのー?」
とてつもなく嬉しいお誘いではあるけど急にこんな事。
「けーちゃんが、キスしたくなるくらいって言っらんじゃん! それともやっぱ、きもちわるいのかー!?」
酒でやけになっているのかうっすらと涙を浮かべて怒鳴る。
きもち悪くないけど、寧ろかなりキスしたいけど……酔った勢いで何て嫌だし。
でも。
「っ……ふぇ、出来ないじゃん……。気持ち悪いって思ってるから、れきないんらー…… 」
等々本格的に泣き出してしまった。
何でゆーちゃんはこんなに自分を気持ち悪いって言うんだろう。
こんなに可愛いのに。
誰かにひどい事を言われた……とか。
___康介。
そう言えば前も泣いて、その時に呼んでたよね?
やっぱり、そいつが原因なの?
知りたいよ、ゆーちゃん。
「ねぇ、ゆーちゃん。目、閉じて……」
小さな子供みたいに泣くゆーちゃんの前髪を片手であげて目を合わせる様にそう言った。
「けーちゃん、ん……」
ゆーちゃんは、泣き止んでゆっくりと目を閉じる。
「ゆーちゃん……」
目を閉じたゆーちゃんの唇に自身の唇を近づけて行く。
そして、触れようとしたその時
「康介……」
ゆーちゃんの口からその名前が出た。
俺の名前じゃなく、"康介" そいつの名前が。
「……っ!!」
思わず近づけていた顔を離す。
「けーちゃん?」
自分の口から他の奴の名前が出た事に気づいていないゆーちゃんは、される事のなかったキスに目を開けて首を掲げている。
開かれた目には、薄っすら涙が滲んでいて、また泣き出すんじゃないかと不安になった。
「けーちゃん……早く」
またゆっくりと目を閉じたゆーちゃんを見てチクリと痛む胸を抑えると
___ちゅっ
額に優しく口ずけた。
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