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突然の出会い#1…10年前
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僕らの学校の文化祭は、
3年に1度だけゲストライブを行う。
ゲストと言ってもジャンルは様々で
例えば、大喜利番組でレギュラー出演している落語家
例えば、チケットが発売すれば即完売の売れっ子芸人
かと思えば、超有名大学を卒業したOBによるスピーチ
殆どの生徒にとって、在校中に1度しか無い一大イベントで
あたりか、ハズレかは神のみぞ知る世界という事で
体育祭の不気味な協議と並んで異様な盛り上がりを
見せるのが、この文化祭だ。
そして今日は、3年に一度の、その日。
まあ、そんなに騒ぎ立てるほど好きな芸能人も趣味もない僕からしてみたら、ちょっとだけミーハーな氏原先生の
反応を楽しみたいとか、そのくらい。
でも氏原先生はどうせアイツと観るだろうし
そう思うとやっっぱり楽しみなんて無い。
…はずだった。
彼に出会うまで。
「兎毛成ぃー。」
今日も今日とて賞味期限切れのおにぎりを頬張るのは
僕の唯一の友達の、佐々木。
「なに。」
「Rickyって知ってる?」
Ricky…
一切顔出しをする事なく数多くの曲を世に送り出し
近年稀にみる才能の持ち主である彼は、確実に
音楽業界を震え上がらせた。
確かそんな事を何かの音楽番組で聞いた気がする。
「うん。名前だけ。」
「今年のゲストだってさ。」
「ふぅん。」
だからみんな騒いでいたのか。
メディアで一切顔を出さないRickyが
僕らだけが見られる…ってことね。
どうせ顔出したらファンが減るブサイクなんでしょ。
夢見させてもらってんだから
わざわざ現実見に行こうとしなくていいのに。
OBのスピーチなんかより全然マシだけど
言うほど興味もない。
だって曲なんて1つも知らないし。
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