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もう離れられなくて#11
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明日、午後14時に
僕の家から少し離れた駅前で。
こういう時、芸能人の人とかって多分変装したりするんだろうけど、
その点奏楽さんは顔を出していないから問題ない。
何をするかも、どこに行くかも教えてくれない奏楽さんはやっぱりミステリアスだ。
僕の知っている限り、待ち合わせ場所に選んだ駅の周りには何もないから
またどこかに移動するんだろうなと勝手に予想を立ててみる。
服装、バッグ、靴、持ち物…
今まで出かける時にそんな所まで気を使ったこととか正直無くて。
なんと僕は、遅すぎるにも程がある
前日の夕方にしてことの重大さに気付いた。
…。
……?
………っ!!!
だって相手は大人の(年齢はわかんないけど多分氏原先生よりちょっと若いくらい?)、
おしゃれな(思い込み)、
お金持ちで(芸能人に対する偏見)、
それに対して僕は………、がき。
量産型のただのがき。
何処にでもいる、がき。
…….やばい、これはとんでもなくやばい。
881。ヤバイ。YABAI。
ちょっと頭おかしくなって来た。
とにかくいけない。
少なくとも今僕が持っている服じゃ
絶対に横を歩く奏楽さんが笑われる。
「兄弟?え〜それにしては弟くん冴えない見た目〜。」
って街行く人達に馬鹿にされるに決まってる。
だめだ絶対に避けたい、それは。
そんな時、ある人物の連絡先が目に留まった。
なんやかんやで数年ぶりに会話を交わすようになった古い友人。
幼馴染みのーー
『もっしー?』
「あ、あのさちょ、ちょっと相談…。」
『えぇ?よしくんからウチに?!なになに!どうしたの!!』
大音量のキンキン声に、思わずスマホを耳から離す。
スピーカーモードにでもなってるんじゃないかって画面を二度見した。
…なってなかった。
うるさいだけだった。
「ナベ服とか詳しい?」
『服??』
「う、うんえっと…コーディネート…的な?」
ナベ…こと、渡辺心は1つ下の幼馴染みだ。
昔は僕と同じ、窓際寄りの除け者扱いを受けていた。
でも彼女は自分を変えて、今ではクラスの輪の中心的人物になっている。
僕の理解者であり、実は密かに尊敬している人物。
『はっはーん。よしくんもしかして〜??』
「な、なんだよ…。」
『なーんもっ!ウチに出来る事あれば力になるよ!』
「…ありがと、ほんと助かる…。」
して、僕はその夜クローゼットの中身全てをひっくり返して行う、“オンライン着せ替え人形”と化した。
勿論、明日開店一番に服屋に走ることが決定したのはいうまでもない。
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