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もう離れられなくて#23
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それから暫くは、色んな曲を交互に歌った。
奏楽さんの好きな歌手の歌を歌えば、
奏楽さんは少しだけ喜んでくれて、褒めてもくれた。
「奏楽さんは採点しない派なんですね?」
「しないよ。あいつ何故か上から目線なんだよ。
機械なんかに俺を評価されてたまるか。」
なんて、相変わらずな捻くれた考えを持つ奏楽さんに
思わず笑いを堪えたりして。
はじめこそ、3時間なんて長すぎて心配していたが
そんな心配は無用だったらしく、10分前を知らせる電話が鳴った。
「美晴、最後に歌わなくていいか?」
受話器を戻したタイミングで奏楽さんに問われる。
歌いたい気持ちが無い事もないのだが、
流石にまだ、ズタボロだと思うから
あんまり真剣に聴かないでください。
「じゃあ…はじめに奏楽さんが歌ってくれたやつ…。」
「お、やるなぁ。」
歌えないですからね!ってとりあえず視線を送って、
もはや僕専用と化した採点モードを予約。
聴き覚えのあるイントロが流れ出せば、
折角とけていた緊張がまたぶり返したから困ったものだ。
さっきの、奏楽さんの声と歌を思い出す。
確か出だしは少し低くて
静かで、繊細でーー。
…とんでもない僕の記憶違いをしていたのか、
音程グラフは面白いくらいズレていた。
サビは合ってたんだけど。
「あ、あれ…やっぱ一回聴いたくらいじゃダメダメでした…えへへ。」
帰り支度をしつつ、慌てて映し出された点数を消した。
くっそー、ちょっと自信あったんだけどな。
「…あの曲サビしか覚えてなかったからさ、俺。
ま、即興で曲作ったよね。」
「?!」
なんと言うことだ。
あれはAmeの曲なんかじゃない。
奏楽さんの作曲したものだったらしい。
そりゃ、採点したら音程ズレるわ。
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