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なんて素敵な#2
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保健室の前に行くと、必ず二回ノックをする。
そこには「入ります」って意味と、
「いちゃついてんじゃないぞ」って意味が含まれてる。
いきなり入ってもし氏原先生があいつに何かされてたら
…き、気まずいからっ!
それに、氏原先生は絶対に返事をしてくれるから。
コンコン
この作業ももう慣れたものだ。
扉の中で一番いい音がするところとかも実は心得ていて、
僕の中のベストポジションをノックした。
けれど、在室中の札がかけられているのに氏原先生からの返事はなかった。
こんなこと今までなかったのに、
何かあったんだろうか。
そんな不安がよぎり、そっと扉を開ける。
そこはいつもと変わらない風景で、
ちゃんと氏原先生もいて、
だけど先生はまるで何も見えていないみたいにぼーっとしてて、
先生がこんな風になってるのはまず間違いなくアイツが原因だなっていうのは簡単に予想がついた。
奏楽さんの同級生のくせに、
奏楽さんと違って氏原先生のことを傷つけるようなことして。
僕は奏楽さんに傷つけられたことなんかないもん。
ぶ、物理的につけられた…傷は……ある、けど
……あわわ、違ういまはそれを思い出して恥ずかしがってる場合じゃない!
隣に行っても、全く気付く気配のない氏原先生の肩を叩く。
「氏原先生、氏原先生ってば!」
「……あぁ、ごめん。…何?」
わあ。
これは相当悩みこんでるや。
明らかに疲れ切った顔をしていて、
ふわふわ気持ちよさそうな髪の毛も今日はなんだか元気がない感じ。
奏楽さん…じゃなくて、Rickyの話をしようと思ってここに来たわけだけど、
ちょっと今の氏原先生はそれどころじゃなさそう。
ここ最近何となく笑顔が少ない気はしていたけど、
ここまでのは初めてでなんとかして氏原先生に少しでも元気になってもらわなきゃと思った。
奏楽さんに限らず、ほんのちっぽけなことでも
僕が力になれるならと無駄に奮闘してしまうのが僕の性分らしい。
いつもお世話になってる大好きな先生を、
たまには僕がお世話してあげなきゃね。
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