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なんて素敵な#15
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こういうのは、勢いが大切なんだ。
一口、また一口と夢中で口の中にそれを頬張る。
…あれ?
ちゃんと美味しいぞ?
見た目で怖がらせてきたわりには、ペペロンチーノにキムチを混ぜたような…不思議なのに、食欲を唆る味。
やはり辛さを強調しているとはいえ、お店で出す商品なんだ。
美味しさを重視していて当然か。
「…よく食えるなぁ。うまいか?」
奏楽さんは、ぱくぱくと箸…ではなく、フォークを進める僕に驚いたように問う。
その目っ。
僕がヒイヒイ言うのを楽しみにしてたのに思ったより余裕な顔して食べててつまんないっていう目!!
思い悩む奏楽さんの考えはわかってあげられないのに、こうして僕をからかおうと企む様子は気付ける様になってしまった。
これは…いいのか悪いのかどっちだろう…。
僕だって、そう簡単に奏楽さんの思い通りにはならないんだからな…っ。
つい数十分前に、彼の予想を遥かに超える大絶叫をしたのは何処のどいつだ…なんて、一瞬脳裏をよぎったけどそれは知らないふりをしておく。
僕は、口の中いっぱいのパスタを少しずつ喉へと通しながら
ようやく口を開いた。
「はいっ。とっても美味しいで……んっ?!」
が、突然遅いくる猛烈な熱さに、思わず身体が固まった。
うわわ、何これ何だこれ!
今までずっと、息を止めて頬張ってたから気付かなかっただけなのか…っ?!
声を発するために息を吸えば、途端に舌に痺れが走る。
それに驚き、鼻から息を吐けば
もう地獄への列車は僕を乗せて走り始めていた。
「ん、くっっ!鼻…鼻いたっ…目にも来る…唇腫れるう…っ。」
ついさっきまでの余裕は一体どこへ行ったのだろう。
思い通りにならないなんて、どの口がいったのだろう。
「クク…、お前って奴は本当に…っ。」
奏楽さんは、口元を覆って苦しむ僕がよほど面白かったのか
声まで上げて笑い出す。
そんな奏楽さんが、なんだか綺麗で儚く見えた。
だって、背景にはたくさんの星が散らばる夜空が広がっているんだから。
いつか消えてしまいそうで、つい手を伸ばしたくなるようなその笑顔が
僕のバカな姿のために見ることが出来たというなら
それも、嬉しい…なんて。
だけどーー…
「あ、ちょ…奏楽さん!僕のお水持っていかないでくださいよ!」
「クク…お前も男なら根性見せてみろよ。」
「酷いですよおぉーっ!!」
やっぱり辛いものは辛いし、奏楽さんはドSだ。
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