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青年とぶつかったあの日以来、1ヵ月近くはその姿を見ていない。
この前までは嫌でも目に入っていたのに、俺のことを避けているのか、もしくは辞めたのか。
彼の様子から言って明らかに合意の上での行為ではなさそうだったし、
やっぱりきつく言い過ぎただろうか。
彼に八つ当たりしてからも、悪夢は続いていたし、
弓弦と一緒に、あの日の彼の真っ青な顔まで夢に出てくるようになっていた。
最悪だ。
一応仕事は今までのようにこなしてはいるが、睡眠不足がひどく眩暈を伴った頭痛が続いている。
打ち合わせが終わった会議室で一人机に突っ伏して、睡眠薬に頼ろうと思案していたとき、俺に気付かず清掃員が数人入ってきた。
「それで笹本君はまだ入院中なの?橋本さんが発見したんでしょう」
笹本…
確か、あの青年はそう呼ばれていたか。
「そうなのよ…もう本当ショックでね、見つけたとき死んでるのかと思って私気が動転して…」
入院?
「なんとか命に別状はなかったみたいんだけど…ただ…」
年配の女性は掃除機のコードを伸ばしながら片手で目頭を押さえている。
「本当に酷い状態だったのよ、匂いも…もう警察には何度も話してるんだけど犯人が捕まったかどうか…」
犯人?
どういうことだ。
ここ最近、あの青年を見なくなったと思っていたのは、どこかに入院しているということか。
それに、犯人って…
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