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ガラガラ
「凪、遅くなってすまなかったな」
俺が病室に戻ると、凪は一人で窓の外を眺めていたようだった。
声に気付いてすぐにこっちを振り返ると、目を細めて右手をぴくぴくと動かす。
触ってほしいときの仕草だ。
ベッド横の椅子に腰かけて手を握ってやると、その手を不思議そうに見つめてから俺を見る。
最近、彼の手を握るといつもこんな感じだ。
以前から接点があったわけじゃないから、俺について何か思い出すとしても
あの夜媚薬で倒れていた彼を介抱して、その後酷いことを言ったことくらいだと思うが。
「凪、話があるんだが」
手を握っていないほうの手で彼の頬に触れて視線を合わせる。
さっき担当医と話してきたことについて、凪にも伝えなければ。
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