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13-1 自棄 ♢
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♢
「ッ、辰巳……!!」
「おっと、」
戻るなり殴りかかられた辰巳が愉快そうにかわす。
普段温厚な男は怒りで拳を震わせていて、巻き込まれないようぼんやりと立つユーリを引き離した。
「怖えーなぁ…歯でも折れたらどーすんだ、」
「折れろ馬鹿野郎、勝手な真似しやがって…」
「ちょーっと借りただけだろ、んなキレんなって」
「なんだと……!」
軽い態度に激昂した廉司が掴みかかるのを脇目に
少し歩くだけでよろけているユーリへ覗き込むように声を掛けた。
涙の跡が痛々しくて、そっと頬を撫でる。
「ユーリ。…ユーリ、大丈夫?」
「…………」
「……っわ…。」
ぽすん、と抱きつかれて面食らう。
辰巳に連れて行かれた間に何があったのか分からないけど暗い目をしたユーリは口を閉ざして、
ただきゅっと僕に抱きついていて。
「……よしよし、怖かったね。よく我慢したね」
あのクズの事だしロクな目に遭っていないんだろうと思い至り頭を撫でて、冷えた身体をさする。
「……疲れたでしょう。…とにかく休もう?」
腰に抱きつく手をそっと外して肩に回させ、
優しく抱き上げて、近くの部屋へ向かった。
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