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「本当にシたい訳じゃねえだろ、無理すんな。」
「……っ、」
腕を引かれて、大きな身体に包まれる。
聞こえる心音をぼんやりと聞き大人しく座っていると
優しく何度も背中を撫でてくれた。
「何があったか知らねえが、あんまヤケに…
いや、せめて俺らくらいは頼ってくれよ。」
「………」
「この店から連れ出してやれる訳でもないし、力不足だろうけどよ。…出来ることなら叶えるから」
ぎゅ…と腕の力が強まって、
ああ、と絡まっていた思考が落ち着いていく。
抱きしめられる力強さに、いつからかずっと強張っていた身体の力が抜けて、くしゃ、と涙が溢れた
「……ごめん…なさい、……おれ、」
「謝んなよ。止められなくて悪かったな。」
「………」
優しい声色で、すり…と頭に顔をすり寄せられる
しばらくそのまま大きな胸に抱かれていると、
だんだん気持ちも落ち着いてきて。
…優しいこの人達に、迷惑をかけちゃ駄目だ
もっとしっかりしないと。
父さんのお金を返すまで。
…大丈夫、それまでの辛抱だから。
密かに決意しながら、おそるおそる抱きつく。
これくらいは、いいかな…?
ちら、と顔を見上げると、おれを見下ろす廉司さんは穏やかに微笑んでくれていてほっとした
温かくて、安心する。
これだけでおれは満足だ。
「……ありがとう、もう平気です。」
「……本当か…?」
「へへ…変なこと言ってごめんなさい。大丈夫です」
笑って見せて、心配そうな顔から目を逸らしベッドを降りる。
動くと下着がぐちゃぐちゃなのを思い出して、替えを貰い、自分の部屋に連れて行ってもらった。
ガランとした、ベッドしかないシンプルな部屋。
…戻ってこられて良かった、に、なるのかな。
相変わらず身体に纏わり付くような嫌な記憶は消えずに胸を締め付けるけど、
気持ちは少しだけラクになっていた。
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