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「ん、…っ…」
目が覚めると、純さんが顔を覗き込んでいて。
反射的にびくりと体を強張らせると、
その人は心底申し訳なさそうに眉を下げた。
「…、えっと…本当ごめんね。
…その……無理、させちゃって…」
「………ぃ、え…」
しゅんと頭を下げられ困惑する。
お客さんに謝られるなんて。
声は掠れて上手く出なくて、そっと喉を撫でた。
辺りを見ると自分はなぜかソファで寝ていて、
純さんは床に座っていたことに気付き慌てて起き上がる。
身体が痛んで顔を歪めると、
動かなくて良いよ、と頭を撫でてくれた。
「勝手にごめんね。お風呂に入れたあと、汚れちゃうからこっちに寝かせたんだ。」
…言われて気づくと、バスローブを着ていて。
「洗う前に調べたんだけど…その、あんまり自信なくて。お腹壊すみたいだから、出来ればもう一度してね」
「…、…すみません…」
「謝るのはこっちだよ。……あ、先輩達は随分前に帰ってたみたい。スマホに連絡入ってたんだ」
そんなことも気付かないなんてね、と申し訳なさそうに話しながら、ペットボトルの蓋を開けて差し出してくれる。お礼を言ってお水を飲むと、痛む喉にじんわり沁みた。
「……これは…?」
「ああ、お腹すくかと思って…好み分からなくて頼みすぎたんだけど、よかったら食べて?」
机にはサンドイッチに、おにぎり…ポテトや唐揚げ、ケーキみたいな甘味まであって。
これ全部おれに…?と思うと萎縮してしまう。
「話せて良かったよ、本当にごめんね。
このあと仕事があって…もう行かないと。」
慌てた様子で不器用にネクタイを締め、
掛けていたスーツやコートを羽織っていく。
せめてお見送りでも、とよろよろ入り口へ向かえば、すぐに気付いた純さんに笑って抱き上げソファに戻された。
「はは、見送ってくれるの?律儀だね。」
「……」
「じゃあ、ここで。昨日はありがとう。」
軽く頭を撫で、その人は行ってしまって。
優しい手にじんわりと気が緩めば途端に疲れが押し寄せて、ぽすんとソファに寝転んだ。
ーーー
しばらくすると片付けに来てくれた伊澄さんが
机に並ぶ食べ物を、微苦笑を浮かべ眺める。
「…ユーリ、食欲どう?なにか食べられそう?」
「……………全部…、食べます。」
「…そっか。それなら部屋に運んでおくね。」
無理せず食べられる分だけだよ、と微笑んで
おれを抱き上げお風呂へ連れて行ってくれた。
身体は丁寧に洗ってくれたのか、
どこも汚れていないみたいだった。
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