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19-2 ♢
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「……っけほ、…ッぅ…ごめ、なさい……」
「何で謝るの。ほら、お水…
気持ち悪いでしょ。ついでに口もすすいだら?」
持ってきていた水の入ったコップを渡し、
洗面所へタオルを濡らしに行く。
その子は言われた通り口をすすぎ控えめにぺ、と吐き出していて、弱った姿と素直さになんとも言えない不思議な感覚を覚えながら、濡らしてきたタオルでユーリの頬や口元を拭く。
されるがままのその子は相変わらず泣いていて
ぶり返した熱で余計に紅潮した頬が、拭ったそばからほろほろとまた濡れていく。
「…もう、泣き虫。おいで。」
「……っ…ぅ、ぐすっ……」
「…遠慮しないの。ほら、」
逃げるように後ずさるユーリをつかまえ、胸に抱き込む。
すっぽり収まる小さな身体は怯えたように震えていて、「何もしないよ」と笑いながらあやすように背を撫でるとようやく身体の力が少し抜けて、
おそるおそる、縋るように抱きついてきた。
「ん、いい子。」
「……っ、」
ぎゅう…と腰に回った手がシャツを掴んで、
顔を埋めた胸元が、涙で熱く濡れていく。
しゃくりあげ、何度も言葉を詰まらせながら
溜め込んでいたらしい感情を吐き出すのを、
背中をトントン叩きながら耳を傾けた。
「っ怖…かった…死んじゃ…、かと…」
「そっか、」
「…っあ、そこ…、痛いしっ…やめて、くんないし…ッ、電気っ…も……ッ頭、まっしろ…なって……ぐす、っ、…怖くて…っ」
「うん、」
「ッ…おれ、っ…便器……じゃなっ…ッ……っ、…」
「…、そんな訳ないよ…大丈夫 大丈夫。」
一層泣きじゃくる様子に力を込めて抱きしめて、背中を撫でて。
ひとしきり泣いて、ずいぶん時間が過ぎた頃。
「っ…、お尻、閉じなくなったらどうしよう…」
不意に発せられた言葉に、とっても真面目に不安がっているユーリがなんだか無性に可愛くて。
「…っ、ふ…」
「………?」
笑っちゃいけないのについ漏れてしまった息をごまかすように、手で口元を隠し、不思議そうに見上げるユーリを撫でた。
「……ふふ、ごめんね。なんだか可愛くて」
「っ…!? ぉ…おれは、真剣なのに…っ」
「うん、ごめんね。怒らないで?」
傷ついたように眉を寄せたその子の赤い目元を指で掬って、よしよしと頭を抱き寄せる。
確かめてあげようか、と声を掛ければ固まった様子にまた笑いながら、覗き込むように目線を合わせた。
「お疲れ様、よく頑張ったね。」
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