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学校…!?
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ばあちゃんが部屋を出て行ったあと、じいちゃんが静かに口を開いた。
「真人、高校のことだが。」
「ああ、そうだ。俺も聞こうと思ってたんだ!!行く予定だった高校は、この家からは遠すぎてダメだし…俺って高校どうしたらいいのかなって。」
「どこに行くかはお前が好きに決めればいい。あの高校に行きたいなら一人暮らしを始めたらいい。だが、私としては…一緒に暮らしたいと思っている。」
じいちゃん…
俺だって…
「俺も、じいちゃんとばあちゃんと一緒に暮らしたい。…でも、俺あの高校しか受験してないから…ほかのとこ行けない…。」
俺が悲しそうな顔をしたからか、じいちゃんは俺に向かって笑顔で言った。
「一つだけならあるぞ、受験してないお前が特別に入れる学校が。」
「マジで!?……でも…なんで?なんで受験してないのに入れるの??」
もしかして、多額な金を納めて入るとか!?
そんな…どうしよう。
俺、じいちゃんに迷惑かけてばっかじゃん…。
「それは、その学校…つまり、私立獅富高校は、私が創設者で理事長だからだ。」
あ、よかった。金じゃないんだ…。
そっか、理事長か……
「えぇ!?じいちゃんが!?」
「ああ。それで?どうするんだ、高校。」
じいちゃんは何事もなかったかのように話しを進めた。
いや、まあじいちゃんにとってはこんなことは何事でもないんだろうけどさ。
「うん。行く。俺、私立獅富高校に行く。」
「そうか。わかった、話は通しておこう。」
「ありがとう、じいちゃん。」
「よし。そうと決まれば、真人。」
「ん?何?」
「明日にでも見学に行ってきなさい。今はまだ春休み中で大半の生徒はいないが、来ている生徒もいるからな。」
見学かぁ。
そうだよね、入学式からいきなり迷子になっちゃったら困るもんね。
「わかった。それって、じいちゃんが一緒に回ってくれるの?」
俺がそう言うと、じいちゃんは申し訳なさそうな顔になって、
「すまない、明日は出張が入っていてな。だが心配しなくて良い。案内やその他もろもろは他の誰かに頼んでおくから。」
と言った。
正直、知らない人と回るより、じいちゃんと回りたかったけど。
まあ、仕方ないよね。
じいちゃんは忙しいし、無理は言えない。
「大丈夫、気にしないで。」
「すまないな。……ところで、いつまでそこにいるんだ?櫻子。」
じいちゃんはクルっと顔の向きを変え、でかい扉を見ながら言った。
すると、扉が伊知郎さんによって開かれたのと同時に
「あら、気づかれちゃったわ!」
という声とともに、りんごパイを持ったばあちゃんが出てきた。
「ばあちゃんっ!?いつからそこに!?」
俺が聞くと、ばあちゃんは「ふふ」と笑いながら答えた。
「えぇ!?じいちゃんが!?ってところからよ。なにか大事な話をしているようだったから。」
結構聞いてたのね…まあ、いいけど。
俺が苦笑いをしていると、いつのまにやったのか
ばあちゃんが、切ったパイを皿にのせて俺の前においた。
「ささ、食べましょ!」
「そうだね、じゃあ…いただきます。」
ばあちゃんが作ってくれたりんごパイは、優しい味がしておいしかった。
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