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空振り
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「いらんわ!誰がお前なんかに…っ!」
バシャバシャと波しぶきたてて青年にお湯をかける。
「わっぶごぶっおべっwちょっ、お湯口にっ…ごふ!」
「前半演技だろ」
「ウィッス」
「てかすぐに萎えたっつーの…。あんなんで勃った自分が恥ずかしい…」
「でも生理現象って自分で言ったじゃん」
「うるさいわ!」
…あぁ、もう腹立つ。
なんなんだこいつは…。
イケメンのくせして…チャラくて変態で…。
俺はノーマルだし…。
いや、別に付き合う前提じゃなくて…
でも…誰かとこんな騒いだの久しぶりだなぁ…。
一人ぼっちの俺は誰にも相手にされず…ずっと一人で…いた。
家でも…大学でも。
「…俺ねー、君のこと好きだよ」
「……………。はぁ!?いきなり何だよ!」
「あ、言うタイミング間違えた。まぁいいや。…うん、俺君のこと好きなんだ。惹かれてる」
少し口角上げて笑う 青年はたしかに『好き』と言った。
俺の顔は赤面する。そんなこと言われたことなかったから。
「惹かれてるっ…って、…っばか!なんでそんなこと言うんだよ!」
「もしや照れてる~?いやぁ可愛い~」
「照れてない!俺はホモじゃないしっ、初めて会った奴のこといきなり恋人のフリを頼む奴なんて俺は嫌いだっ!」
そう叫び 浴槽から飛び出た。
だけど、…それと同時に青年も出て俺の腕を掴んだ。
「…っ、じゃあ!もっと一緒に居たら好きになってくれる?」
「…は!?」
「じゃあ、一緒にいよう!俺の事…好きになって」
今度は真面目の顔になる青年。
「…恋人のフリするをだけなのに…好きになってどうするんだよ」
「フリじゃなくていい。ホントに付き合って欲しい。」
俺は鼻で笑って手を払った。
「そういうの…本当嫌い…」
青年をギッと睨みつけて風呂場から出た。
脱水所に来てから…静かにツーッと一筋の涙を流した。
「好きなんて…簡単に言うなよ…」
そう呟いて横へ振り向くと…さっきいたおじいさんたちのうち一人がこっちを驚いた顔をしながら見ていた。
「ボウズ…フラれたか…?」
「あっ!いえ違います!」
俺は急いで涙をぬぐい 体を拭いて服に着替えた。
それから…一直線に家に帰った。
その頃…高架下では。
携帯を片手にして 立っている青年が一人いた。
「健翔さん!俺ちゃんと会ってきましたよ!」
『よし…結構遅かったな…。で、ちゃんと名前言ったか?』
「名前?あっ、言ってない」
『ドあほ!お前ほんっとにアホだな!』
「うひゃんっ!健翔さん耳痛いですっ!大きな声出さないでくださいよー」
『お前にはこれくらい大きな声出さないと脳に入らねぇだろーが!このアホ』
「うわぁん、ひどいー。でも健翔さん…俺あの子怒らせちゃった…嫌われちゃった」
『…あーあ。まじかよ。何言ったんだよ全く…』
「ごめんなさい…」
『…ったく…。ほら、また明日あるから落ち込むんじゃねぇよ。実春』
「はい…」
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