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牽制 1
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それから、よく一緒にいるようになった。
『助けてもらったから、なついた』と同級生がからかう。
間違ってはいないが、間違っている。
助けてもらった事は感謝しているが、他の誰かがそうしたからと言って好意に発展はしない。
顔に似合わず豪快な性格なのも好きだし、面倒見が良いのも好きだ。
まぁ、犬のように扱われているのも彼だから許せれる。
「たぁく、良い子良い子」
拓斗(たくと)という名前から、彼は俺の事を『拓』と呼ぶ。
みんなは『拓斗』と呼ぶから、何となく優越感があった。
だが『たぁく』と呼ぶ時は、俺の癖っ毛をわっしゃわっしゃに撫で回す時に呼ばれるあだ名。
案の定、セットしていた髪はぐちゃぐちゃにされる。
「ちょっと!」
「元々カッコイイくせに、わざわざ格好つけるなよ」
『カッコイイ』と言われて、嬉しいがセットした髪をぐちゃぐちゃにしないで欲しい。
朝起きるのがツラいのに彼の前でキチンとした姿を見せたくて、わざわざ早起きをして頑張っているのだ。
「…他の奴に、格好良いの見せんな」
ボソッと言う彼の声が聞こえなくて、聞き返す。
「なぁに?なんて言ったの、蒼ちゃん」
「何でも無い!」
蒼太(そうた)は更に、拓斗の髪の毛をわっしゃわっしゃと撫で続けた。
頬が赤いのは気のせいだろうか。
蒼太もまた、みんなから名前をそのままで呼ばれている。
だが拓斗はみんなと違う呼び名で呼びたくて『蒼ちゃん』と、あたかもずっと昔からの友達だったかのように呼んでいた。
だから、それを聞いた人達は『仲が良いねー』とか『幼馴染み?』と聞かれる事が多い。
(蒼ちゃんに変な虫が付いたら、嫌だし!)
蒼太はムードメーカーなタイプだから、男子にも女子にもモテる。
それが気にくわないので、自分がふっついて牽制も兼ねて監視しているのだ。
(絶対、俺以外と仲良くしないように見とかないとね)
拓斗は撫でられながら、ずーっと蒼太の顔を見て微笑んでいたのだった。
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