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勇者、剣を振るう
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相手を泣かせることに快感を覚えることを自覚したのは、やっと物心ついた頃のガキの時だった。
物心もなにも、俺にはそういう人情とか人心が欠けていたのだが、それは言葉の綾ってやつだ。
気に入った相手を徹底的に潰し、支配下に置くことが、俺の中の承認欲求やら独占欲を満たしたのだ。
まあガキの頃ならまだ許された話で、誰しも似たような感情を抱いたものだとは思うが。
しかしながら問題は、俺はそれを成長とともに卒業することができなかったことだ。
年齢を重ねるほどその欲求は増し、それに伴って快楽も増した。
中毒だった。
止められないし、止める気も起こらなかった。
そして今に至る。
それでも最近は好きになること自体が少なかったから。
というか悪名が知れてしまって、相手も警戒し出したというか。
だから今あるのは持て余した承認欲求と破壊衝動だった。
それでそこにいた、ただ存在していただけの存在に、刃を向けた。
誰も承認してくれないその場で。
相手を叩き潰すことで、ある程度の快感はある。
破壊し、自分の足元に転がすことで、そこに俺の強さの証明がある気がして。
実際は奇襲以外の何物でもなかったが。
でもそれ以上は何もなかった。
ただ勢いに任せて剣を振り回す。
それでも、血溜まりの中、俺を見て怯える魔族の-恐らく子供を見て、少し気持ちよくなった。
例え恐怖でも、今アイツの中には俺しかいない。
俺で満たされている。
だから、そんな時に横槍を入れられたことは、凄まじく気分の悪いことだったし。
その相手に興味が移行するのは当たり前のことだった。
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