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魔王、勇者を見る
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「・・・アンタ、魔王、か?」
身体が震えていた。
そこに立っている男が持つ、圧倒的な力というか、カリスマ性というか。
まあ、そういう目には見えないけれど見るに明らかな強さ、みたいなのに。
そしてそんな存在が『俺だけを見ている』という現状に。
血を振り払いながら、男に問いかける。
その姿を見る限り、ラスボスって感じだから、まあ愚問なんだけど。
それでも社交辞令的というか、形式上。
男は黒髪を風になびかせ、立っている。
背中に羽織られたマントをはためかせ、スマートなりに均整の取れたしなやかな筋肉で覆われた、人間の理想像のような見た目で。
それでいて、頭部の山羊のような角は明らかな異形感を醸し(かもし)出していた。
ただ、異形ではあれ、違和感はなかった。
ただ完成された存在だった。
今まで見てきた中で、一番綺麗だと思った。
それが悪魔の持つ魔性みたいなやつだとしたら、それに中て(あて)られているなんて、世話ないというか無様な話だけど。
でも、それでも。
俺の中にはまた、あの独占欲や承認欲求や支配欲が生まれていた。
そう。
気に入った相手に対して発現する、非人道的な人間じみた感情が。
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