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淫魔くん、初めてのごはん②
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確かに玉木が怒るのも無理はないだろう。
到底理解しがたい出来事が目の前で起こっているのだから。
イライラを隠そうともしない玉木に、ルイはただただ身を縮こませるしかなかった。
(こんなとき、ぼくはどうすればいいんだろう…。…うう、なんでお父さん教えてくれなかったの…!)
そもそも、空間を歪ませて部屋に入るインキュバスやサキュバスにとって、人間のこんな反応は慣れっこで、もはや適当に言いくるめ、さっさと精を搾り取ることは容易い。
ルイは父親を責めるが、いくらルイでも言いくるめることくらいは出来るだろうと父親は考えていた。
結果は、火を見るよりも明らかだったが。
自分に自信がないルイが、いやらしく誘惑できるはずがなかった。
案の定打開策が思い浮かばず、ことの経緯をすべて話してしまった。自分がインキュバスであることも、使い魔のことも、すべて包み隠さず。
話してる最中の玉木の相槌が怖く、最後のほうはほぼ涙声になっていたのは言うまでもない。
「…と、い、いうわけなんです…っ」
「…へえ。…んで、結局俺に何してほしいわけ?明日も仕事だから早々に出て行ってくれると有難いんだけど」
はあ、と一つ息をこぼしてから玉木はさぞめんどくさそうに言葉を並べる。
尚もジロリと此方を見つめる瞳に、ルイは小さな悲鳴をあげながらも、ここで引くわけにはいかないと覚悟を決め顔を上げた。
「…ぼッ、ぼくと…、ぼくとえっちしてください…!」
「はあ?」
「だっ、だから…ぼくと…えっちを…」
真っ赤になりながら言うルイに、ぽかんと口を開け唖然とする玉木。頭の中でその言葉を咀嚼しているようだった。
だが、その表情は先ほどと打って変わって間抜け面とも呼べる。
「…いや、待て待ておかしいだろ。だってお前はその、えー…なんだっけ…インキュバス?とやらなんだろ?男から搾り取るのはサキュバスじゃねえの?」
「ぼ、ぼくはインキュバスなんですけど、その、男の人の体液じゃないと魔力がつかなくて…」
「…んだよそれ、意味わかんねえ。つーか、お前みたいなちんちくりんが悪魔ってのも信じられねえけどな。ま、悪ぃけどさっきも言ったように相手出来ねえから、他探せ」
しっしっ、と玉木はルイに向かって手を払う。
その姿に泣きそうになりながらも、ルイはぐっと堪えた。
帰れ、と言われて簡単にじゃあ帰りますと言えるわけがない。使い魔のためにも、手ぶらで帰るわけにはいかないのだ。
ぐっと下唇を噛みしめ、ルイは玉木を見上げる。
「…ど、どうしてもダメなら…強行突破します…!ごめんなさいっ…」
震える声でそう告げると、玉木が反応するよりも先に、ルイは玉木に向かって手を伸ばした。
その瞬間、玉木の両手は突如何もない空間から現れた黒い結束バンドのような紐で縛られ、目は黒いアイマスクのようなもので塞がれてしまった。
これも、インキュバスであるルイの魔力なのである。
「はっ?!おい!なんだよこれ…ッ!クッソ、何も見えねえ…!」
ジタバタと暴れる玉木を見て、ルイは魔法が成功したのだとホッと安堵の息を漏らす。
そして、いそいそと先ほどのように玉木の上に跨った。
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