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淫魔くん、ご奉仕、する?①
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なんやかんや、ルイが玉木と共に暮らし始めて二週間ほど経った。
玉木の住む部屋はキッチンのみやけに凝った造りになっている、そこそこ広い1LDKだ。
一人で住むには多少持て余していたため、小柄なルイが一緒に暮らし始めたとて、特に窮屈には感じなかった。
最初はウンザリだと思っていた玉木だが、だんだんと慣れてきたルイは騒がしいわけでも此方に委縮しすぎるわけでもなく、ある意味では図太く自然体でいるので案外心地よかった。
「わあ、すごい!見て、玉木さん、大きいケーキだねえ…」
「ん、お前甘いもの好きだよな」
「すき!よく、魔界でも食べてたの」
仕事帰り、玉木が家に帰るとルイはテレビに釘付けだった。
魔界と人間界はさほど仕組みは変わらないらしく、技術の発展も同じようなもので向こうにもテレビや洗濯機などの家電は存在するらしい。
だが、放送する内容はやはり違うらしく、ルイは暇さえあればテレビのチャンネルを回していた。
玉木はルイが座っていた二人掛けの黒いソファに腰を下ろす。
どすん、と体重をかけたことによりルイの体が少しだけ跳ねた。
テレビでは新しくできたお洒落なケーキ屋を紹介していた。ルイは目を輝かせながら食い入るように見ている。
ルイは淫魔なので、基本的に食事を取らなくても魔力さえあれば生きていける。けれど、たとえ支障がなくとも美味しいものは美味しいので普通に料理をして食事を摂る悪魔も多い。
ルイも、そのうちの一人だった。
玉木はしばらく一緒にテレビを眺めていたが、一つ大きなあくびをしてからおもむろに立ち上がる。
「玉木さん、もう寝る?」
「ああ。風呂入って寝る。今日はなんかすげー疲れた」
素っ気なく返す玉木の顔には確かに疲労が浮かんでいて、それが嘘じゃないことは容易に分かる。
ルイは、脱衣所に向かう玉木の背中を見つめながら、何か思案顔をする。
そしてルイは玉木が去って幾分も経たないうちにテレビの電源を消した。
それからしばらく経って、玉木は風呂から上がり寝る支度を整えてから寝室へと向かった。
セミダブルのベッドには、すでに先客がいるようで布団が一人分盛り上がっていた。端の方に身を寄せている。
一緒に暮らし始めてから、ルイと玉木は同じベッドで寝ている。それはベッドが一つしかないことや、客用の布団がないことなどいろいろ理由があるのだが、すぐに手が出しやすいというのも大きな理由の一つだった。
今までよりも狭いベッドで寝るのも、玉木は不思議と嫌ではなかったのだ。
玉木は寝室の電気を消して、枕元にあるライトをつけた。優しいオレンジ色の光が鈍く広がる。
玉木はルイの隣に潜り込むと、軽くスマホを弄る。なにか一つでも連絡を見落としていると鬱陶しい同僚から深夜でも早朝でも電話がかかってくるからだ。
見落としがないのを確認し終え、今度こそ寝ようと枕元のライトに手を伸ばすとさっきまで布団にすっぽりくるまっていたルイが此方を向いていた。
「…起きてたのかよ」
「…うん。…その、玉木さんはもう眠い…?」
ただの寝返りではなくしっかりルイの双眸は玉木を捉えていた。
「すげえ眠ぃけど、なに、寝れねえの?」
「…ぅんと、寝れないっていうか…」
ルイは歯切れの悪い言葉で返し、きょろきょろと視線が落ち着かない。
あまりにも時間がかかるので、玉木は次第にイライラしていく。それを隠すつもりもないので、ルイは余計に言葉が出なくなってしまう。
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