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淫魔くん、お出かけする①
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「ルイ、出かけるから支度しろ」
天気の良い昼下がり。
珍しく仕事が休みらしい玉木は、昼過ぎに起きてきたかと思うとソファでだらだらテレビを見ていたルイにそう声をかけた。
ルイは、突然の発言に目を瞬かせたが、すぐさま飛び起きて笑顔を浮かべる。
「お出かけ?!玉木さんと?!」
「声でけぇ。30分後には出るから」
玉木はルイの声量に顔をしかめながら、自らの支度のため洗面所に消えていった。
ルイはその姿を見送り、焦ったように立ち上がる。
「支度!支度しなきゃ!…あれ、でも僕って何を持っていけばいいんだろ」
この家から出たことないルイは外に出るために何が必要かよく分からなかった。
そのため、テレビを消すと小走りで玉木のあとを追って洗面所に向かう。
「玉木さん、僕なにか持っていけばいい?」
顔を洗っていた玉木に後ろから声をかける。
魔界からこちらの世界に来る際に、ルイが持ってきたものはこれといってなかった。娯楽のために来ているわけではないので、外に出ることも今までなかったのだ。
文字通り、身一つで実家を出てきたルイ。そんな彼を見て、玉木は眉をひそめた。
「持ってくもんは特にねえけど、その余計に出てるもんしまえ。しまえねえなら出かけるのは無しだ」
「余計なもん…あ!羽と尻尾!しまえるよ!」
余計なもの、と言われたことには特に反応を示さず、ルイは素直に羽と尻尾をしまう。
隠すことにも一定の魔力が必要なので普段は出しっぱにしているのだが、今のルイは魔力が潤っている状態なので隠し続けることも難なくできるようになった。
これも、ほぼ毎日十分すぎるほどの魔力を玉木から供給されているおかげである。
玉木は軽く得意気になっているルイを横目に寝室へと向かい、私服に着替える。やることのないルイは、また後を追って同じく寝室に入ってきた。
「…あー、服は…それ以外ねえのか」
「服?」
毎日一緒にいるせいで何となく見慣れてしまっていたが、ノースリーブでへそ出し、加えて下着が見えそうなくらい短いショートパンツというのは余りにも露出が高すぎるんではないだろうか。
改めてそう感じた玉木は、露出狂と思われては困ると適当な服をクローゼットから見繕ってルイに投げる。
かなりの対格差があるため、もう玉木が着れないような小さく縮んでしまっている服を渡したつもりだったが、ルイにはやはり大きかったようで。
長すぎるTシャツをズボンにインして、さらにベルトを巻き、ズボンの裾を折ってようやく着れるようだった。
どう見ても中学生くらいにしか見えないルイに、玉木はどうか怪しい目で見られないように願いながら玄関へと向かった。
「お前、車酔いとかしない?」
「車?!大丈夫だよ!乗ったことないけど!」
車のキーを持ち、そういえばとルイに聞くと何とも能天気な返答が返ってくる。
大丈夫だと言い切る自信は一体どこからくるのかと呆れたが、まあ今更かと自分を納得させる。
「電車のラッシュに巻き込まれる方がうぜえし、車でいいか。そんな荒い運転しないし」
「うん!車のってみたい!」
瞳をキラキラさせながらルイは玉木のあとを追っていく。
こうして二人の、初のお外デートが幕を開けるのだった。
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