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淫魔くん、襲い受け①
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「ひまだ…」
天気の良い昼下がり。
窓から差し込む陽の光を浴びながら、ルイはソファにだらしなく倒れ込んでいる。
ほどよい暖かさと、ゆっくりと流れる時間がどうしようもなく眠気を誘う。
こうして、ルイが暇を持て余しダラダラとした生活を送ること早5日。そろそろ限界が近づいてきた。
撮り溜めていたドラマは全て観終わってしまったし、小型自動掃除機も動き出さないほど家の隅々までの掃除も終えてしまった。
完全にやることがないのである。
…というのも、ここ最近、家主である玉木が多忙のため職場に軟禁されているのである。
1日帰ってこない日もあれば、夜遅くに帰宅し仮眠して朝早くに家を出ていくことがほとんどだ。
ルイとは会話どころか、ろくに顔も合わせていない。
夕食も職場で摂っているみたいだった。
ルイにとって人間と同じ食事は無くても困らないもののため、自分一人分だけ作るとなるとそこまで凝ったものを作る気にもなれず、結局こうして午後はやることがなくなってしまう。
(う〜ん、でもさすがに…お腹すいたなあ…)
玉木と顔を合わせていない。
すなわち、ルイが淫魔としての食事をしたのはもう5日以上前の出来事というわけだ。
玉木と出会う前までは、精気なしでも十分生活できていたはずなのに、もうすっかり体の作りが変わってしまったらしい。
出会ってからは3日とあけたことはなかったからか、体が空腹感を覚えてしまった。
普通の食事ではどうしても満たされず、やりようのない飢えに襲われる。
せめて前のように口淫で精液だけでも摂取できれば、と思うが毎日遅くに帰ってきて死んだように眠る玉木にそんな無体は働けなかった。
(迷惑、かけたくないし…)
ただ、玉木の繁忙期がいつまでなのか、この生活があとどのくらい続くのか見当もつかない限り、いつまでもそんな悠長なことは言ってられない。
ルイ一人だけ空腹になるのだったらまだ耐えられるが、あまり長引くと使い魔がまた消滅の危機に曝される。
もともとそれを阻止するために玉木の元へ現れたのに、ここに来て消滅させてしまったらルイの今までの努力が無駄になる。
「…そうだ!一回魔界帰ろ!」
一度魔界に帰り、使い魔の現状を見てこよう。そうしたら、あとどのくらい魔力が残ってるか参考になるし。
ルイはそう思い立ち、勢いよく起き上がる。
きっともうしばらく玉木は忙しいだろうし、3日くらいで帰れば問題ないだろう。
久しぶりの里帰りだ、とルイは少しだけ浮き足立つ。
適当なメモ紙に「玉木さんへ。しばらく魔界へ帰ります。ルイ」と残し、寝室へと向かった。
魔界と人間界は、条件さえ揃えばわりとどこででも扉が繋がる。
基本的には狭くて暗いことが必須条件だ。
ルイはそのことを理解しているため、寝室のクローゼットへと潜り込み扉を閉める。
そして、ムニャムニャと念じるとクローゼットの奥の壁に歪みができた。
そのままそこに手を触れると、強い力で引っ張られ世界が反転する。
ぐるぐると目まぐるしく回る世界に、
(うぅ、ぼくこれ酔うんだよな〜…)
と、呑気な淫魔はそんなことを考えていた。
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