アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
淫魔くん、襲い受け③
-
ルイの使い魔であるピノの本来の姿はいわゆるアライグマであるが、魔力量によって他の様々な姿に変形することができる。
使い魔には主人からの魔力の供給が必要不可欠であり、その供給される量によって維持できる姿も変わってくる。
魔力の残量が少ない場合は、何か変わりたい姿があったとしてもその未熟な形にしか変わることができない。
つまりルイは、ピノに人間の姿に変わってもらうことで魔力の残量を確かめようとしたのだった。
残量が少なければ少ないほど子供の姿に近づき、多いほど大人の、十分すぎると更に屈強な姿になっていく。
ピノの今の姿は子供ではあるが、ルイが思っていたほど幼くはなかったのでまだ焦るほどではないかと安心したのだった。
「よかったぁ~、まだそんなに魔力は減ってないみたいだねえ」
「え!も、もしかしてその確認のためにわざわざ…?」
「ん?そうだよ!ピノが心配で帰ってきちゃった」
「る、るいさまぁ~!」
へへ、と照れ臭そうに笑う主人にピノは涙ぐむ。
一番最初に自分が消滅の危機に瀕した時、震えながらも人間界に降り立つことを決めてくれた姿をふと思い出す。
使い魔を主人の役に立つための消耗品のように扱う魔族もいる中で、自分が他のインキュバスとは違うことを理解していながらも即座に行動してくれたルイに心の底から感謝したのだった。
そんな過程もあり、ピノはもはや使い魔という枠を超えてルイに忠誠を誓っていた。
今回もまた、自分のためにわざわざ人間界から戻ってきてくれたのかと思うとジンと目頭が熱くなるのであった。
ピノが感動で震えている間、当の本人は呑気にお茶を啜っていた。
「でも、たしかに、さいきんはあの人間とセックスしてないのですね」
「ぶ…っ」
あどけない子供の顔に似合わない単語を発する使い魔に、ルイは思わずお茶を噴き出してしまった。
「な、なんで…っ」
「なんでって…るいさまが人間の精液を摂取して淫紋に魔力が宿ると、自動的にぴのにも送られるようになってますでしょ?」
「ま、まって!そんな子供の姿で過激な単語言わないで…」
なんでもないような顔で説明を始めるピノに、ルイはストップをかけた。
それを聞き、元のアライグマの姿に戻る。
どちらの姿でもさほど変わりないように思えるが、まだこっちの方がマシだとルイは安堵した。
「なにか、あったのですか?るいさまがつらいのなら、ぴののために無理してほしくはないのでございます…!」
「い、いや!本当になにもないよ!玉木さ…えと、その人いますっごく仕事が忙しくて!大変そうだから…」
使い魔の心配を慌てて否定する。
今までが貰いすぎていたためか多少の飢えはあるが、別につらいというほどのものではなかった。
玉木もたまに意地悪なところはあるが基本は優しく面倒見がいいし、居候で異形な存在の自分をなんだかんだ受け入れてくれている。
むしろ恵まれすぎているくらいだった。
(…なんか、玉木さんに会いたくなってきちゃったな)
折角寂しさを紛らわそうと魔界に来たのに、余計に恋しくなってしまった。
ルイはそんな考えを振り払うように頭を振った。
「なんだかんだ、まだ契約もしてないですもんね」
「う…そうなんだよね…」
玉木とは、最初の出会い以降、専属契約の話をできないでいた。
何となく、断られたら気まずくなってしまいそうでするのが憚られた。
今のところは飽きられることもなく順調に精気を貰えているからこれでいいのではないかという気にさえなっていた。
しかしこれから先万が一玉木から精気を貰えなくなったとき、また新しい人間を探して一から交渉しないといけないと考えるとあまりにも荷が重い。
どうにかしてこのまま玉木と契約できればいいが、本人の意思を反故することはできない。
「まあ、あの男もあんなに毎日るいさまに中出ししといて別の人間とセックスしてるとはおもえないですが…でももしなんかあったらそのとき考えればいいのです!」
「ぴの…」
「ささ!いまはとにかく久しぶりのご帰宅ですからゆっくり休んでくれです!もうすぐ旦那様と奥様も帰るはずですから、お夕飯のしたくです!」:
思わず考え込んでしまったルイだが、ピノが別の話題を振ってくれたのでいったんは忘れることにした。
今は久しぶりの家族との時間を大事にしよう、とピノに笑顔を向けるのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 33