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孤独を紛らわす方法
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『ちゃんといけた?』
「…うん」
-----電話越しの声だけで繋がる関係。
相手は顔も名前も知らない、他人-----。
「じゃ、また」
電話を着れば襲ってくる孤独感。
肌が触れ合ったわけではないのに身体に灯る熱。
彼と知り合ったのはネットの掲示板。
ネットで知り合った人と直接会うのは怖くて、オナニー指示募集のスレッドに書き込みをした。
その時レスしてきた東京都に住む20代後半という彼に通話アプリのIDを教えて、電話越しのテレフォンオナニーをする関係になった。
電話越しの彼の声は低く落ち着いていて安心する。
事がはじまると色気を含む低音が心地よく耳に届いて俺を欲情させる。
住んでいる場所とおおよその年齢しか知らないその男に俺は依存していた。
「なぁ多田。お前いつになったら成果出せるんだよ」
「申し訳ありません…」
「1年目の方がよっぽど仕事してくれてるぞ?しっかりしろ」
「はい」
朝憂鬱な気持ちで目覚め、昼は必死になって営業に回り、夕方には上司に怒られ、夜は死んだように眠る。
でも今日は金曜日。
彼との電話の日だ。
無意識に緩む口角を隠してパソコンに向かう。
「先輩、金曜になると雰囲気変わりますよね」
「え?…そうかな」
今年3年目の後輩、佐竹に指摘されてすぐさま口元を隠す。
「もしかして恋人とか!」
「ち、ちが!」
「ははっ、わかりやす。顔にYESって書いてありますよ」
「そんなことない…」
「そんなことありますよ〜。俺先輩のそういうとこ好きだったんすけどね。先越されちったか〜」
「冗談はやめろ」
「俺、本気です。その人やめて俺にしません?」
「…っからかうな」
冗談か本気かわからないことを耳元で囁かれ咄嗟に体を押し返した。
「…ほんとにその人のこと好きなんすか」
「お前には関係ないから…」
「…。そうっすよね!さーせん」
『先端を指でグリグリして』
「ん…っ、あ、もう…でそ…」
『ん。出していいよ』
「あ…イ、くっ、」
先走りとローションでぐちょぐちょに濡れた自身から熱い精液が飛ぶ。
「は、…はあ…っ」
『じゃあ。おやすみ』
「あ、まって…!」
『ん?どうした?』
射精したばかりの体は彼の優しいテノールにすら反応してしまう。
「あなたは、イかないの…?」
『俺はいいよ』
電話口で声に少し笑みが含まれていることがわかる。
「でも、いつも俺しかイかなくて…」
『いいんだよ。君を気持ちよくするのが楽しいからね』
あぁ、どうしてこんなに彼は優しいんだろう。
穏やかで優しい低音。
心地よくて胸にじんわりと光が灯る。
彼はどんな人なんだろう。
顔は?身長は?服装は?
出会い系で会うのは怖かったくせに、今はすごく彼に執着している。
「…会いたい」
『え?』
「あ、ごめ、なさ!ちが、くて…っ」
『…いいよ』
「えっ…」
『僕も君も同じ東京住みだろ。しかも住んでる地域も近くだし。会おうか』
「いいの…」
『うん。もちろん。
今すぐ会いに行くから』
あれ、なぜ彼は俺が東京に住んでいることを知ってるんだ。
( 続いてのニュースです。昨夜、東京都S区のアパートにて遺体が発見されました。遺体はその部屋に住む多田隼也さんのものと見られています。室内には大量の睡眠薬が発見されましたが、遺体には首を絞められたようなあともあり警察は捜査を進めています。
ニュースワンではアパートに住む住人にお話を伺うことができました。)
Q.多田さんはどのような人でしたか?
「うーん、あまり目立たないタイプのね、いかにもサラリーマンって感じだったわ」
Q.事件当日、不審な人物を見かけませんでしたか?
「そう!その日は私風邪をひいていて見てないんだけどね。3ヶ月前くらいからかしら?金曜日になるといつも黒いパーカーを着た男が多田さん家の前に立って何か電話してたのよ。なんだか気味が悪くてねぇ。」
( 住人の方のお話で三ヶ月前にあった事件と似ているような気がしますが、中原さん、どう思われますか)
( これは三ヶ月前の出会い系掲示板殺害事件事件と酷似していますね。連続殺人の可能性もありますので早急に捜査が必要かと思われます。また、インターネット掲示板では住所の特定が容易に行えます。インターネットの書き込みには十分注意が必要でしょう。人との繋がりを求めていた多田さんは、犯人にとって都合の良い相手だったと言えますね。 )
( 犯人は未だ逃走中とのことですので、ネットの書き込みには十分注意することが必要ですね。中原さん、ありがとうございました。)
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