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「だからね、もう少しだけ待ってて欲しい」
「待つ…?」
もしかして、それは…
「もう一度言ってくれるんでしょう?」
やっぱり。
そんな風に言われて、期待しない訳がない。
「はい、いくらでも待ちます」
「ふっ、ありがとう。…そうだなぁ、修学旅行から帰ってきた日に会える?」
「…はい」
目が合って笑い合った時、部屋のチャイムが鳴った。
「ん、ちょっと待ってて」
「あ…俺部屋戻ります」
俺は立ち上がり藍野先輩と扉へ向かった。
「大丈夫だよ、まだ部屋に戻るには時間も早いでしょ?まだ後夜祭も始まってないし」
「でも…」
そう話してるうちに、もう一度チャイムが鳴った。
藍野先輩は扉を開けた。
「あ、悪い藍野、あのさ……菱沼?」
「あ…古瀬先輩こんにちは」
扉の前に立っていたのは古瀬先輩で、言葉を発したが俺の存在を見つけて言葉を止めた。
「…あ、あぁ。じゃなくて、部屋に忘れてったの取りに来たんだけど…邪魔した?」
「いや、大丈夫だよ。どこ?」
「入っていいか?」
「どうぞ」
古瀬先輩は中へと入って来た。
俺は邪魔にならないように端へ避けた。
古瀬先輩は中へ入って行き、引き出しから小さな紙袋を取り出した。
「あったあった。んじゃ俺はこれで…」
部屋を出て行こうとした時、こちらを振り返り古瀬先輩は、
「良かった、藍野」
とだけ言って去って行った。
俺には、その 良かった の意味が分からなかった。
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