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「あの、どこに行くか聞いてもいいですか?」
「内緒〜」
そう言って笑うだけで、先輩は行き先を教えてくれない。
駅前が近づくにつれ、人も多くなってくる。
「藍野先輩…」
「あぁ、ごめんね」
俺が声を掛けると、藍野先輩は繋いでいた手をパッと離した。
こんな人混みの中で手を繋いでいたら、好奇の目で見られる。
でも、こんな風にあっさり離されてしまうのは寂しい、なんて我儘なんだろうな。
そんなことを考えてる俺を藍野先輩が見ていたことに俺は気づかなかった。
「まずはこれ」
突然目の前に差し出されたのは映画のチケット。
「あ、…」
「この前観たいって話してたでしょ?」
「覚えてくれてたんですか?」
「もちろん。忘れるわけないでしょ」
ちらっとした会話だったのに、覚えていてくれたんだ…。
「菱沼くん何飲む?」
「えっと…」
飲み物を買って、早速入場する。
席に着くと、アナウンスが流れ場内が暗くなった。
本編の前のCMが始まる。
すると藍野先輩が俺の手を握って来て、思わず隣を見ると先輩は人差し指を唇に当てて笑ってる。
そして、握っていた手が絡み合った。
これってまさに恋人繋ぎってやつじゃん…。
場内は暗いし、気づく人も居ない。
映画が始まった。
内容はアクションファンタジーものだ。
いろんな意味でドキドキしながら映画を楽しんだ。
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