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「灰凌、こっち見て」
少しだけ低く感じた声にびくりとしてしまった。
視線を先輩に向けると、悲しそうな表情をしていた。
ズキリと胸が痛む。
「俺がそんな簡単に灰凌のこと嫌いになると思ってる?」
俺は首を振る。
「もう少し俺のこと信じてくれてもいいんじゃない?」
そんなことを、言わせてしまったことに後悔する。
信用してないわけじゃない。
ただ、
「まだ、話せません…」
そう。
まだ話せない。
菫玲先輩と約束したから。
「まだ?」
「はい…」
「…ん、分かった。じゃあ話せるようになるまで待ってるから」
俺が頷くのとほぼ同時に、唇が重なった。
「っ…先輩!」
「ん?」
「だ、誰かに見られたらっ…」
「大丈夫だよ、こんな時間にこの寒さだし」
「っでも、んんっ」
深くなるキスに、次第に自分から積極的に舌を絡ませていった。
「好きだよ灰凌…」
「んうっ…は…ぁ、」
唇が離れれば呼吸を整えながら、先輩に寄りかかった。
直澄先輩は俺の頭を撫でながら、くすっと笑った。
「灰凌もエロいキスするようになったね」
「エロッッ!?ばかっ」
ぽすんと先輩の胸を叩く。
「直澄先輩が俺に教えたんでしょ…」
「ふっ…そうだね。そろそろ戻ろうか」
「…はい」
先輩は部屋まで送ってくれた。
無理やり聞かれなくて良かった。
やっぱり先輩は優しい。
全て話してしまいたい。
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