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それから菫玲先輩と話すタイミングはなく、数日が経った。
菫玲先輩と話したあの日から、直澄先輩とは毎日会っている。
俺の部屋で紅輝も一緒に3人で話したり、先輩の部屋に行ったり、テラスに行くこともあった。
今までみたいに過ごしていたから、菫玲先輩は納得してくれたのかな、なんて都合良く考えていた。
授業が終わり放課後、再来週に控えた入学式の準備で生徒会の仕事が忙しそうな直澄先輩とは一緒に帰れず、俺は一人で寮への道を歩いていた。
そして寮に着いた時に、数日振りに菫玲先輩と会った。
会った、というか部屋の前で俺のことを待っていたのだけれど。
「おかえり菱沼くん」
「あ、えっと、ただいまです…ごめんなさい、何か…」
「ちょっと話したいんだけど…」
「…部屋の方がいいですか?」
「……そうだね、中入れてくれる?」
「はい、どうぞ」
鍵を開け、菫玲先輩を中へと招き入れる。
菫玲先輩は靴を脱ぎ中へ入って行って、俺も後を追う。
「あの、」
声をかけようとした時、パンッと乾いた音が部屋に響いた。
そして右頬が痛み、叩かれたのだと理解した。
「っな、に…」
ヒリヒリと痛む頬を思わず押さえる。
突然のことで驚きを隠せない俺は菫玲先輩を見つめた。
菫玲先輩は怒っているということがすぐに分かった。
「確かに、僕は考えてみるって言った。でもっ」
襟元のシャツを掴まれる。
「あんな風に、僕に見せつけなくてもいいんじゃない!?」
何のことだか分からない。
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