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「…っごめんね、」
謝罪。つまりそれは肯定だ。
菫玲先輩にとって俺が直澄先輩を好きだという気持ちは邪魔でしかない。
直澄先輩は、今は俺の方が大切だと言ってくれた。
それでも、それは菫玲先輩の記憶がないことが前提であって、菫玲先輩が思い出した今、それを知った直澄先輩の答えが同じとは限らない。
はは…
俺、全然直澄先輩のこと信じられてないじゃん…
「考えたけどやっぱり直くんが好きなの。もう十分幸せもらったでしょ?だから、僕に返して」
「…直澄先輩は、ものじゃないです…」
「うるさいなぁ…」
グイッとシャツを引っ張られ、倒れそうになる。
ちゅっと、唇が重なった。
「っ!?」
驚いている間に、菫玲先輩は俺の首元に顔を埋めた。
「何っ…やだ、待ってくださいっ」
首にはチリッとした感覚。
そして、そこを舐められた。
「僕とキスしたことと"それ"に、罪悪感に潰されちゃえばいいよ。早く別れてよね」
菫玲先輩は俺の首元を指差して、ひと睨みしてから部屋を出て行った。
「っ…」
俺は急いで洗面所へ向かう。
首元にはくっきりとキスマークが付いていた。
「どうしよう……」
涙が溢れた。
「直澄先輩…っ…」
俺はその場に座り込んだ。
とりあえず直澄先輩は今、入学式の準備で忙しい。
明日は終業式。
春休みは実家に帰ろう。
今日と明日さえ乗り切れば…
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