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あぁ、言ってしまった。
飛世先輩、ごめんなさい…
「本当は、言わないで欲しいって言われてたんですけど…」
「……」
「俺、春休みの間は実家に帰ります。連絡もしません。直澄先輩は飛世先輩と話してください」
「でも、俺は今更…」
「飛世先輩は、そうじゃないので」
あぁ、やばいな。
涙が出そうだ。
こんな、強がって…
「灰凌」
「…っ……そんな風に、優しく名前を呼ばないでっ」
堪えていた涙が溢れてしまった。
ふわりと、抱きしめられる。
「灰凌の決心は分かったよ。飛世とは必ず話す」
直澄先輩は俺の額の髪を掻き上げ、そこにキスを落とした。
「直澄先輩がどんな答えを出そうと、例え別…ん…」
先輩は言葉の続きを紡がせてはくれなかった。
「それは言わないで」
悲しそうに笑う先輩。
そんな顔をさせているのは、他の誰でもない俺だ。
心の底から笑って欲しいと思っているのに、それが叶わない。
「また、新学期に会おう」
直澄先輩はそう言って去って行った。
それから春休みが始まった。
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